今日から3連休最終日まで徳島にいくので途中までだけどメモ的に残しておきます。タイムリミットまでできるところまで書こう。思いつきを並べているだけなので帰ってきたら続きを書きます。ライトノベルの妹ものについて。
ブックウォーカーというiPhoneの電子書籍アプリでラノベばっかり買っているという話はしたかもしれませんが、今も普段の読書の傍らラノベばっかり買って読んでます。5分しか載らない満員電車とか、本も出せないような満員電車とかで重宝しておるのです。iPhoneだったら片手で持てるしね。で、最近読んだのがどっちも妹もの。
『この中に一人妹がいる』みたいなタイトルのヤツと『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』みたいなタイトルのヤツ。どっちもアニメ化作品でなるほど面白いって感じ。最初は絶対おもしろくないだろ……と思いながら買って読み始めたんですけどね。結局二シリーズ合わせて20巻近くあっという間に読んでしまった。
ただ面白いにも色いろあるよねっていう話で。僕はちょっと前に知人にまどか☆マギカとHUNTERXHUNTERが受付ないというとんでもないことをいうひとがいて、おまえそれ二つを楽しめないなんて世の中終わってるじゃないか……と思っていた。しかも彼はアニメだいすきで大抵みているんですけど、上にあげたような「何のストレスもかからないハーレム、萌えアニメ」しか評価しない。
いや、まどかをみろと。その時僕は思っていたのですけど、でも物語、アニメと一言でまとめてしまうけれども、物語にもいろいろありますよね。たとえばいわゆる萌えハーレムアニメと、HUNTERXHUNTERやまどかってまったくベクトルの違う話であってHUNTERXHUNTERとまどかが面白くないからといって物語というものがわかっていない底の浅いクズ野郎かといえば、当然そんなことはないわけですよ。
まどか☆マギカもHUNTERXHUNTERも読み手に強いストレスを与えてきて、そこからの解放で物語を盛り上げていき、その落差が激しいタイプの作品なんですけど彼が好きな萌えアニメにはそんな落差はない。ストレスはかからない。どっちも良さがあるんですな。僕は満員電車でハーレムになる主人公を読んでいると癒されるもん。そういう良さがある。
そういう前提で読むと、とんでもなくひどい話なんだけど「別にいっかな」とかっこにいれられるようになる。いやあ、本当にひどいんだよ。あらすじ。本当にひどいからちょっと『この中に一人、妹がいる』のあらすじを紹介しよう。
大企業の社長の息子で次期社長が嫁探しに学園にやってくる。お約束通り、あっという間に好き〜って女の子がいっぱいでてきてハーレムを築きあげるんだけどその中に一人妹がいるかもしれないと脅迫がかかってくるせいで付き合えない。うわどうしよういったいだれが俺の妹なんだーという話なのだ。
いやわかるだろ。とっととDNA鑑定しろ。そしてとっとと結婚しろ。お約束の鈍感主人公と、じらしにじらしまくる妹探しに巻数が増せばますほど無理が出る展開で苦笑いが出ちゃいそうなんだけど、でもそういうのは全部かっこに入れて棚上げにすればこれだけノーストレスで願望が充足されてにやにやできるものもないんですよ。あと凄さのベクトルが違うって言ってるのは、こういうライトノベルはこういうライトノベルでそれなりの技術と構造に裏打ちされて創られてるからなんですよね。
読みやすさの技術で言えば一番有名なのは「口調だけでどのキャラクターなのか判別できるようにする」っていうやつで、どちらかといえば今まで漫画、絵で重視されてきたキャラクターのぱっと見の個性ってやつが文章で表現されている。まあそれで変てこな口調のキャラが出てきて飽き飽きしている面もあるんだけど、でも読みやすいには読みやすいんだよね。他にも真面目に読めばいろんな技術的側面をピックアップできそうだけどそれはまた今度で。以下は構造的な話。
妹物ばっかり二作品連続で読んだから思ったのだけど、ハーレムを要請されるラノベにおいて妹というのは実に使い勝手がいい。願望充足的にハーレム(主人公にぞっこん惚れ込む女の子を4,5人配置する)を創りあげるのはいい。しかしラブコメだと特にそうだけど主人公が「好きだ!」って言って付き合ってしまったらそこで物語が終わってしまうのでなんとかしてラノベのラブコメは巻数を稼ぐためにハーレムだけど付き合えないというジレンマを生み出さないといけない。
今まで色んな方法が編み出されてきたが(主人公が難聴、主人公が鈍感、三角関係で揺れる)肉親の妹がメインヒロインならば主人公が勝手に倫理が〜〜〜!!とかいって悩んでくれるのでくっつけるのもくっつけないのも自由自在だ。この中に〜でまあちょっとだけうまいかなと思うのは、結局妹と付き合えなかったとしてもハーレムが要請されている以上他の女の子たちも必要で、そっちと付き合えばいいじゃんという問題が残るのだが、「誰が妹かわからない」のでそのジレンマを回避していることだろう。
あるいは昔あったけどヒロインが全員妹とかね。そういえば村上春樹の1Q84は恋愛小説としても読めて、普通の恋愛小説は出会って好きになって付き合ってっていう流れなんだけど1Q84は既に出会っていて、相思相愛なんだけど出会えないっていう逆恋愛小説になってるんだよね。ラノベでハーレム物でこれをやったらちょっとおもしろいかも。ハーレムで相思相愛なんだけど出会えないの。なんじゃそりゃ。
ついでだから『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』についても。というか、作品としてはこっちのほうが僕は好きだったな。これの凄いところはね、話が進まないんだよね。何も起こらないといってもいい。だって一巻なんか、主人公と妹が同居をはじめて主人公が学園に転入するんだけど、引越したての生活の準備と、学校についたところで終わるからね。
勿論その間に他のハーレムメンバーとの顔合わせがあるんだけど日用品を買いにスーパーにいったら会ったとかそんなしょうもない日常的な展開でしかなく、で、会うたびに何ページも漫才みたいな会話だけに費やされるから話がまったく、ほとんど、進んでいる気がしない、のだが、なんかちょっとずつは進んでいるという割と不思議な話なのだ。
そうはいってもほとんど会話劇なので化物語タイプ。あと意外だったのがこんなタイトルと設定で意外と理性的というか、理屈が全編を通して支配していてその感じが個人的には非常に良かったんですね。この作品の場合ハーレムへの「主人公がくっつかないジレンマ」の理由としては、「シスコン」で妹しか愛してないけど倫理的な人間だから手を出さないよ、という非常に真っ当なもので、その辺も好印象だったりする。