君の青春はまちがっていたけど、けれど、きっととても正しい。ありがとう。
おお、なかなか面白かった。会話がよいですし(化物語っぽいけど)。絵もかわいいですね。
学校で友達がいない男の子が、奉仕部と呼ばれる学生の悩みを解決する部活に入って、美少女達とラブがコメる話です。凄くアレですね、なんかラノベのごった煮みたいな感じになってますね。この奉仕部っていうのは色々な問題を一気に解決するいいアイデアですよね。まあいいアイデアだから色んな作品で使われてしまうんでしょうが。まず、「みんなで目的を持って何事かを達成する」というのは物語の基本です。
同時に、奉仕部ということはそこには何人ものキャラクターがやってくるわけで、キャラが出しやすい、一話完結で話が回しやすい。さらに素晴らしい事に、物語の幅が広がります。たとえばサッカー部の話を書いたら、サッカーのことしか書けないじゃないですか。奉仕部ならサッカーの話でも野球の話でも書けるでしょう?
そして部活の過程で友だちが出来てくる。友だちがいない主人公のまえに、人間関係の輪が広がってくる。今の中学高校生へ向けて作品を書こうとすると、やっぱり「友だちが出来ない」主人公を配置するのは正しいんでしょう。しかし友だちができない主人公が問題を解決し友だちを作っていく、という流れなんかには違和感がありますよね。
「僕は友達が少ない」なんかを読んでいても感じることですが、「友だちってそんな大事かあ?」というあれ。むかしも今も僕は、友だちなんか一人もいなくて一向に構わない、と思うタイプです。それなのに基本的な社会の意見としては、一人では生きていけず、人は何年も続く財産になり、人間関係を築くことが何よりも大事だと教えていく。
もちろんそれは真実でしょうし、友だちを作ることは大事なことでしょうが、学生生活においてのこの「友だち作り」プレッシャーは強すぎだと思う。「一人の方が楽しく過ごせる」っていう人は必ず存在します。そういう人の為にも「友だちなんて作らなくてもいい」という価値観がなくてはならないはずなのに、あまり重要視されない。
その点この本がなかなか面白いのは、周囲と合わせず、ひとりっきりで過ごすそのことが「楽しかったんだ」ってはっきりと主人公が言い切っていることだと思いました。そして、その楽しかったぼっちを肯定しながらも、奉仕部に集まってくる変人たちとの交流もまた、楽しいんだっていうこと。
まちがっているけれど正しいと言うのはどういうことかというと、それが楽しいかどうかっていう事だけだと思う。
- 作者: 渡航,ぽんかん8
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/03/18
- メディア: 文庫
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