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秘曲 笑傲江湖 第四巻 天魔 復活す/金庸

感想


天魔復活す、というタイトルと十数年の間湖底の石牢に眠っていた恐るべき怪人が、復讐を胸に今甦るというあおりぶんを読んで、すわ魔王の復活か! といきせききって読み始めたものの、魔王復活じゃなくて非常に残念である。それに近いものではあるが。こっちとしてはもっとわかりやすい魔王を創造していたのである。悪魔の羽がはえていて、口を開けばビームがとびでて、次々と弱い順に手下を勇者にむかって送り出すような、そんな魔王を想像していたのである。まぁしかし、ついに復活してしまった。そのなも任我行!


そういえば何故令狐冲がこんなにも不幸なのかを考えていたのだが、考えるまでもなくこの展開の速さのせいだろう。普通の、問題発生→調査→問題解決 のプロセス通り物語を作っていけば一つ一つの問題を潰していくだけでことはたりるのだが、笑傲江湖の場合問題発生→さらに問題発生→さらにさらに問題発生→問題解決 というふうに、解決速度が問題発生速度に追いついていない。結果どんどん問題がふりつもっていって、異常に不幸な男が誕生したかのように見えるのである。かわいそうに・・・。


それにしても、ついに任我行の秘術、吸星大法を我がものとして、死ぬ死ぬ詐欺から解放された令狐冲であるが、すぐにまたケガをおって死ぬ死ぬ詐欺が始まってしまった。こいつはひょっとして常にハンデを負った状態じゃないと敵と闘えない星の下にうまれてきたのかしらん? いいかげんにしろ令狐冲! 独孤九剣だけでも物語の主人公としては十分な令狐冲であるのに、吸星大法まで習得してどうしようというのだ、と思ったが、どうも正邪の区別なんて実際あいまいなものだ!というようなよくわからんテーマがこの作品にあるのかどうかはわからないが、どうやら令狐冲は正の剣法である独孤九剣と邪の技、吸星大法を同時にあやつり正邪の間にたつ、中立的キャラクターとなってこの先まとめていくような役割を背負わされてしまったようである。不幸といえば不幸なやつじゃ。


ていうか東方不敗ってやっぱり元ネタとして使われてたんだな。そりゃたまたま被るってことがあるわけがないか。


辟邪剣譜がそんなに凄いものとは、何回も本編で書かれているように思えないのだが、どうしてこいつらはこんなに必死になって追い求めているんだろうか。ってそりゃひょっとしたら凄いものかもしれないと考えているからだろうが。あらぬ濡れ衣を次々と着せられる令狐冲はもはや滑稽ですらある。そりゃあなた、説明責任を果たしていないからね、義とやらで。それだけならまだしも、相手がよくよく物を考えないアホンダラばかりだから悲惨である。常識にのっとった反論をしても、あいつあやしいという理由だけで犯人にされてしまう悲しさである。まるで異邦人の死刑になった主人公である。太陽のせい、なんていってないでちゃんと説明しろって。


さて、そういえばこの巻じゃ何が起こったんだったかな?おもな出来事といえば、任我行を助け出し、吸星大法を習得し、魔教から恒山派を守り切り、岳霊珊や岳不群からありったけの濡れ衣を着せられまくり、終わる。


さてさて、話はどう動いて行くのやら、さっぱり理解できん。秘曲 笑傲江湖はいったいはなしにどうかかわってくるのか?
辟邪剣譜はいったいどこへ消えたのか? 令狐冲の誤解は全部きれいさっぱりなくなるのか? 任我行は令狐冲を諦めるのか?東方不敗はどう話にからんでくるのか? ふむ、一番の感心は笑傲江湖だな、話にいまのところあまり大きくかかわってきてないが、タイトルになっているぐらいだからとてつもない謎を秘めているに違いない。一つをひくのは任盈盈だろうから、もう一人は誰かな、令狐冲か? そうすると任盈盈と結ばれるのは確実のようになってしまうが儀琳はいったいどこへ。


加速度的に強くなっていく令狐冲、明日はどっちだ!?