基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

トップラン〈第2話〉恋人は誘拐犯/清涼院流水

 帯が壮絶なネタバレ。久しぶりに・・・・キレちまったぜ・・・・。さて、一番最初の24ページは、アニメでいう前回のおさらい的な内容で正直いって何のために挿入されているのかさっぱりわからない。読み飛ばし推奨にもほどがある。ちなみにトップランテストを自分も受けてみた結果、3230万円という結果が出た。トップランテスト失格らしい。別に何にも悔しくないあたりがこのトップランテストのどうしようもなさを物語っているといえなくもない。

 さて、作品の内容に話は移るが思っていたよりも面白いのかもしれない。最後まで読んでそう感じた。正直いって途中までは一巻で説明した内容をまたくどくどと説明するわ2000年やら1999年や、1月11日11時11分11秒がいかにすばらしいかやらとにかく数時の並びを延々と並べたててそれを解説し続けるのでかなり疲れた。コズミックやジョーカー、カーニバルクラスの長編ならばこのくどくどした説明やら数時の並びやらも遊びとして受け入れられるのだが、文庫で200Pぴったりというとても短い作品でそれをやられると、非常にうっとおしいのである。そしてまたこのトップランテストの意図について延々と主人公があーでもこーでもないと頭を悩ませる場面があるのだが、正直どうだっていい! とにかく話を進めてくれ! と願うわけだがあーでもないこーでもない数字の並びがどーたらこーたらと、とち狂ったかのように考え続ける。しかも途中で話の流れが読めてしまうのだが、ここが問題の場所だった。途中でドンコが彼氏を連れてくるという話題になった時に、普通はああこいつが貴船なんだな、なるほどなるほどとわかる。そんでもって実際に貴船があらわれて、こっちは別に驚けないから面白くないだろうなと思っていたが、多少予測が外れた。想像してみると今まで主人公にとって自分の家というものがいかにすばらしいか、自分の家族というのはいかにすばらしい存在なのかをここまで、延々と描写してきたわけである。くどいほどに。いわばここは聖域であって、何かつらいことがあっても逃げ込める場所だった。仮に貴船が何かしかけてきたとしても、いざとなったら家族に相談するという手段が残されていたのだ。そこに貴船がどうどうと入り込んでこれるというこの事実、そしてそれに気が付いているのは自分だけ。こういうのが実際に書かれてみると、思いのほか緊張感が伝わってきて面白いような気がしてきたのである。そして最後に、ドンコを誘拐するという脅迫電話。なんかこのあたりの微妙に考えられている構成がいつもながらうまいんだよなあ。圧倒的有利な状況にいたはずなのに、一瞬で不利な状況に変わってしまっている。次の巻にも目が離せない。