基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

アフリカの文化が色濃く反映された、様々な種族の文化摩擦と対立、その調和を描き出すSF長篇──『ビンティ ー調和師の旅立ちー』

ビンティ ー調和師の旅立ちー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:ンネディ オコラフォー早川書房Amazonこの『ビンティ』は、米国オハイオ州生まれのアフリカ系アメリカ人作家ンネディ・オコラフォーによるスペースオペラ的SF長篇である。三作の中篇から構…

アルゴリズムを闇雲に信じることがないように、その限界を認識する──『アルゴリズムの時代 機械が決定する世界をどう生きるか』

アルゴリズムの時代 機械が決定する世界をどう生きるか (文春e-book)作者:ハンナ・フライ文藝春秋Amazonグーグル検索をした時、Facebookをみたとき、ECサイトで「おすすめ」商品が表示される時──我々はいま、日常のあらゆる側面でアルゴリズムと接している。…

宇宙を支配する帝国の宮邸で繰り広げられる陰謀劇、ポリティカル・サスペンスが堪能できるSF長篇──『帝国という名の記憶』

帝国という名の記憶 上 (ハヤカワ文庫SF)作者:アーカディ マーティーン早川書房Amazonこの『帝国という名の記憶』は、アーカディ・マーティーンの長篇デビュー作。デビュー作にも関わらずヒューゴー賞を受賞、その他のSF賞にもバンバンノミネートされた注目…

温室効果ガス排出量を510億トンからゼロへ、ビル・ゲイツの提言───『地球の未来のため僕が決断したこと:気候大災害は防げる』

地球の未来のため僕が決断したこと作者:ビル・ゲイツ,Bill Gates早川書房Amazonこの『地球の未来のため僕が決断したこと』は、マイクロソフト創業者にして、世界最大の慈善基金団体であるビル&メリンダ・ゲイツ財団を創設・運営している、イメージ的には永遠…

嗅覚が軽んじられるのはなぜなのか?──『においが心を動かす; ヒトは嗅覚の動物である』

においが心を動かす; ヒトは嗅覚の動物である作者:A・S・バーウィッチ河出書房新社Amazonにおい、嗅覚というのは五感の中でもわりと軽視されがちというか、仮に何か一つ感覚を消滅させられるとしても、視覚、聴覚と比べたらなくなっても構わないかな……飯を食…

能力主義信仰を問い直す『実力も運のうち』から、物理学に美しさは必要か? と批判的に切り込む『数学に魅せられて、科学を見失う』までいろいろ紹介!

本の雑誌459号2021年9月号本の雑誌社Amazon はじめに 本の雑誌に書いているノンフィクションガイド連載の原稿(2021年6月)を転載します。毎月書いていると今回はけっこうしっかりしてるな、とか今回は(公言はしないけど)薄味だな、とかいろいろ思うところがあ…

六隻の海賊船をたばね、世界最大級の船を襲った男の逸話──『世界を変えた「海賊」の物語 海賊王ヘンリー・エヴリ―とグローバル資本主義の誕生』

世界を変えた「海賊」の物語 海賊王ヘンリー・エヴリ―とグローバル資本主義の誕生作者:スティーブン・ジョンソン朝日新聞出版Amazon歴史上の海賊と聞いて多くの人が思い浮かべるのはおそらくフランシス・ドレークとか、黒ひげの名で知られるエドワード・ティ…

ほとんどの人は本質的に善良であると、強力に性善説を推し進める一冊──『Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章』

Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章 (文春e-book)作者:ルトガー・ブレグマン文藝春秋Amazonこの『Humankind』は、オランダで25万部以上の部数を重ね、『サピエンス全史』のハラリにも絶賛され対談をし、ピケティに次ぐ欧州の知性など…

歴史の影で忘れ去られていた女性暗号解読者たちの活躍に光を当てる一冊──『コード・ガールズ――日独の暗号を解き明かした女性たち』

コード・ガールズ――日独の暗号を解き明かした女性たち作者:ライザ・マンディみすず書房Amazon近年、ロケットのための計算に明け暮れていた女性たちを描き出したノンフィクション『ロケットガールの誕生』や、ディズニーの初期で制作に関わった女性たちの活躍…

無秩序な日本中世を振り返り、現代の当たり前を見直すエンタメ歴史ノンフィクション──『室町は今日もハードボイルド―日本中世のアナーキーな世界―』

室町は今日もハードボイルド―日本中世のアナーキーな世界―作者:清水克行新潮社Amazon最近日本に住んでいるフランス人や中国人YouTuberだったり海外YouTuberの動画をだらだらと見ていることが多いのだが、同時代を生きていたとしても国ごと、コミュニティごと…