- 作者: 夢枕獏
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2008/12/17
- メディア: 単行本
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さて、四朗という主役を据えた四巻だが、東天の獅子を通してで初めてテーマ的なものが明示される。餓狼伝でも散々問いかけられたあのテーマ。『人は何故戦うのか』最後、これについて答えを出す四朗までの流れは秀逸という他ない。人は何故戦うのか。そもそも試合をする、というのは戦い全体から見たらほんの一部でしかない。本当の戦いとは何なのか。闘いが宣言された瞬間に始まり、一方の死をもって終わる。それがここでの本当の戦いだと。
多くの作品がこのテーマに挑んできたと言っていい。戦いは戦いを生み、その輪廻から抜けるためには死ぬしか道はない。バガボンド、ヴィンランド・サガも第一線でそのテーマを追っている。答えはないのかもしれない。特に意味はなく、闘い続けなければいけないのかもしれない。試合があるから稽古をするのではなく、稽古をするから試合があるんだ。といった内容のセリフがあった。戦うために戦っているのだろうか。四朗は結論を出した。気になったら読んで確かめてもらいたい。といっても読んでもいないのに四巻のこれを読んでいる人なんているはずもないか。これ書くのなら、一巻の時に書いておかないとな。ああ、そして四朗が結論を出した先にあるのは、次の世代への継承。そして死だ。当然のことだがこの小説に出てくる人物はもうみんないない。そのことに、本書を読み終わった時に気がついて絶句した。この寂寥感こそが、四巻を読んでいて一番心に迫って来たものだったかもしれない。もののふは死んでいく・・・。
さて、ここからはガンガンネタバレしていこう。ものっそい面白かったのだが、一か所どうしても、命を賭けて、魂を賭けて、プライドを賭けて、全力で突っ込まねばならぬ場所があった。読書メーターの感想とか見ても誰もここ突っ込んでいないんだけどしんじられないっすお!↓問題の個所
おんし、ほんとうはおれのことを好きなんじゃろうが。
おんしこそ。
ああ、そこだ。
そこをもっと触ってくれ。
そこをもっとねじってくれ。
そこへもっと入れてくれ。
すげーBL描写だなと思ったあなたに。これは格闘描写です! お間違いなきよう! 男が絡み合っているという意味じゃほとんど似たようなもんだけど…。それにしてもこれは凄い。一瞬で物語に入り込んでいた脳みそが現実にカムバックしてきた。一体お前らは何をやっているのかと。この前にももっと声をあげろ、だとかもっと腰をつかえだとか。本当に何をやっているんだ・・・! 子供だって読むんだぞ!
これは誰が読んでもアレな場面だと思ったが、意外とそうでもなかったりするのか? みんなスルーしているのか? これぐらいじゃなんとも思わないのか?