基本読書

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工学部・水柿助教授の日常/森博嗣

工学部・水柿助教授の日常 (幻冬舎文庫)

工学部・水柿助教授の日常 (幻冬舎文庫)

まあまずは感想でも。

 げらげら、なんだこれは。凄く、バカだ。もちろん褒め言葉だ。森博嗣のエッセイとモリログアカデミーを重ね合わせて小説にしてしまった感じだ。うーん、つまりとっても、お得? モリログアカデミーとエッセイと小説が全部楽しめるんだから、そりゃあまあお得なのだろう。いつもはあるエピグラフもないし、本当にこれは小説といっていいのかどうか。人称も独特だし、とっても不思議だ、としかいいようがない。

 内容といえば、カンニングをする際のコツについて語ったり、ミステリィサークルについて語ったり、スバル氏との出会い、それからなんと、過去に付き合った女性の話まで!(もちろんフィクションです、小説です。)いろんな事も、一応小説という媒体だからか、割と赤裸々に語られていてとってもにやにや出来る。いやーこんなに笑えるとは、まったく、微塵も、想像していない。当たりだ。当たり。モリログアカデミーを自分が眼を皿にして(実際に皿になっているわけではない、意味もよくわからないが、単なる比喩表現である)読んでいたのはスバル氏の言動がいちいち面白いせいもあったのだ。全国のスバル氏ファン必読の書である。といっても自分、スバル氏の絵はあまり好きではないのでファンではないのかもしれない。もえないも、ノベルス版よりハードカバーの方が好きやし。まあそんなのどーだってええ。んーそーだな。もう別に書くこともない。振り返ってみると、別に実のある事は書いていない。いつものことだった。でも今回は特に気の抜けた回だと思う。というのも、本書全体がそんな気の抜けた感じだから。伸びたけどうまいカップラーメンとか、炭酸が抜けたけど妙に笑える味のするコーラとかそんな感じ。

 以下気に言ったところまとめみたいな。

教授側から見たカンニングの話。

 そもそもカンニングがいけないのか? というと、実際問題そんなことはない、はず。いやもちろん学校生活を送っている間は、厳密に禁止されている行為なのだけれども。それは学生生活を送っている方達はテストがあるわけであって、そのテストは全員が同じ条件下で、どれだけの実力を発揮できるか測るテストだから。そこでカンニングしたらルール自体が崩れてしまう。

 といっても、実生活においてカンニングしてはいけない、状況なんてものはほとんどないのである。何も見ずに、誰にも相談せずに、正確に質問に答えないといけないなんてことは、実生活だとほとんどないわけ。そもそもそれはやって当然の行為であって、何も見ないで誰にも相談しないで手持ちの武器弾薬だけで敵に突撃していくのはただのバカな特攻隊でしかない。だから学生は監督者に見つからないようにカンニングすることも、試験のうちであって得られる結果とリスク、つまり発見される可能性なども考慮に入れて自分で判断してカンニングすることが、より実践的なテストといえる。

 まあそんなこんなでカンニングである。学生である時は、教室には何十人も人間がいてその中の一人である自分がちょっとばかり不審な動きを見せても先生にばれるはずがない、と思っていても、教壇にたっている先生からは、生徒たち一人一人の行為が簡単に全部把握できるのである。これは自分は経験したことがないが、結構先生方の話は聞いたことがあるので割と真実のようだ。そんな中、当然カンニングをするような輩は自分が見られているかどうかを極度に気にするもので先生の方をちらちら、っと見るそうなのである。そこでわざと眼をそらしてやったりすると、しめしめとばかりに怪しげな行為を始めると。試験監督者は、別に行為を行っているところを発見するわけではなく自分のことをちらちらとみてくる人間のみを重点的に見張っていればいいわけである。

 したがって、もし監督者に気づかれないようにカンニングをしたいときには、監督者を見てはいけない。もっと仕草に気をつけなければならない。前席の人間の影に隠れるような動作は絶対に禁物である。あくまでも自然に。これが鉄則だ。おそらく、常習犯はそれを知っているのだろう。

地球人は実は全員宇宙人である。

 そうなのだ。なんとなく地球と宇宙はまるで別物のように感じてしまうが、僕らだって今息をしているのは、立派な宇宙空間といえる。そこで生きている人間なのだから地球人でもあって、宇宙人でもあるのだ。だからよくある、ピラミッドは宇宙人がつくった。とか、ミステリィサークルは宇宙人がつくった、とかも基本的に真実なのだ。とかいう理屈が最高に面白かった。引用しよう。

 戦争になったとき、「宇宙人が攻めてきた」と騒いでも正しいし、新しい製品を「宇宙人がデザインした」と宣伝しても、きっとJAROに文句は言われない。冷蔵庫のハムがなくなったとき、「宇宙人が食べた」というのも嘘ではないし、恋人に「僕、本当は宇宙人なんだ」と告白しても良い。

 げらげら。面白い。