- 作者: 上杉隆
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2008/07
- メディア: 新書
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第1章 日本にジャーナリズムは存在するか?(空想でしかない「客観報道」
メモ合わせ
自由な言論を許さないメディア
編集と経営
しばり、癒着)
第2章 お笑い記者クラブ(笑われる日本人記者
メディア界のアパルトヘイト)
第3章 ジャーナリストの誇りと責任(署名記事
実名報道
均一化したエリート記者たち)
第4章 記者クラブとは何か(記者クラブの誕生
日米メディアをめぐる誤解
英訳・キシャクラブ
都庁記者クラブの場合)
第5章 健全なジャーナリズムとは(アフガニスタン・ルール
過ちを認めない新聞
日本新聞協会の見解)
そうですね、おもに挙げられている批判…と一口にいっても大量にあるのですが、まずアメリカは自由な取材で誰にでも会えるのに(政治家にも)日本には『記者クラブ』という謎のクラブが存在して、政治家に会うためにこの人らの承認を得ないといけないんですな。完全に政府の間違いを正すべき存在である記者と政治家が癒着してるんですがまあこれの指摘。他にもタイムズではいい記事が書けなくなったら解雇されるのに対して日本の記者は記事の内容が関係ないとか、誤報を隠蔽する卑怯な国日本とか、匿名性の高い記事は卑怯だとかまあそのあたりの批判ですよ。もっともな指摘すぎてどうしようもないのですがしかしそれをタイムズが至上のものとして対比して語るから全部がおかしくなってしまうのです。全体を通しての主張とは日本のジャーナリズムはタイムズたるべき、というのが直接的には書かれていないのですがびんびん感じ取れます。そういう押し付けが嫌いなんですねー。タイムズ信者、宗教みたいです。
あんまりのめり込めなかったんですけど、その理由は上のような問題点がもはや問題点とならない時代がきているせいだと思います。もはやマスメディア、ジャーナリズムが崩壊して困ることなんて何一つ無いんじゃないかなーと。今の若者が、どれだけ新聞や雑誌を読んでいるでしょうか。若者が新聞や雑誌を読まなくなったのは、価値観の押しつけに飽き飽きしているからなんですよ。というか、新聞や雑誌に書いてあるようなスキャンダルや事件が自分とほとんど関係がないことに気がついたのかもしれません。戦争に興味が無い人がいたっていいじゃないですか。今までは、遠い国で飢餓で苦しんでいる人がいるとか、戦争が起こっていることや、テロなどを知る、知ろうとすることが常識みたいな世界観だったかもしれませんがそんな時代はもう終わりました。それはネットのおかげですね。ブログ、Twitterなどで誰もが情報発信者になれるようになりました。今までは一方的に情報を受け取るだけだった状況が変わりつつあります。自分で正しい情報を調べて、またマスコミが間違った情報、誤った押し付けをしようとしてきてもすぐにバレます。滅茶苦茶細かいところまで観てますからね、自作自演なども結構バレてますよ。そうするともう誰も本書で批判されているような日本の悪しき報道なんて信じません。これからは人類総マスコミでしょう。そんなこんなで、国民に知らせる義務をジャーナリズムがすでに失っていても、すでによくなりつつあるじゃんだからどーした、と思ったのでした。