基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術

 立花隆『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』(文藝春秋刊 一七一四円)はタイトルのまんまな本でした。序文にて読書術、速読術が書かれ、あとは怒涛のように本の紹介が書かれる。その数なんと約三百冊!(たぶん) 自分はどちらかといえば速読術、読書術に惹かれて本書を読み始めたのですが、役に立ったのは圧倒的に本の紹介でした。とにかくベストセラーなんかに目をやらず、こんなの誰が読むんだよ(笑)とスルーしてしまいそうな奇書、もしくは専門性の高い本を取り上げていることが多いです。これはねー、興味が無い本を紹介していることが大半だと思うんだけど、実はそこにこそ価値がある。

 たとえば脳科学の超難しい本を読んで、紹介したかと思ったらそのすぐあとに何人ものAV女優にインタビューした本を紹介したりするわけですよ。自分だったら絶対にそんな本読まない。紹介文を読んでも読もう、とは思わなかった。でも立花さんの紹介の仕方は、面白い部分を凝縮して伝える方法なのでそれだけでも充分に面白いんですね。例えるなら映画の予告編! 予告編の方が面白いと言われる映画だってあるぐらいで、本書もズラーっと並ぶ三百冊の予告編がバーっと雪崩のように流れてくる。短いと四〇〇文字、長くても千二百文字といったところでサラっとしか書いてないのだけども非常に濃密です。あんまり濃密すぎて、これ一冊で三百冊分読んだのではないかと錯覚するぐらい。とにかく自分のフィールドを広げたい人にオススメの一冊。

音楽読みと絵画読み

 速読についてのわかりやすい喩えが『音楽読み』と『絵画読み』です。たとえば音楽を聴く時は普通じっくりと、頭から尻尾まで聴きますよね? 対して絵画を美術展などで見る時は、ひとつの絵に何分も時間を使わないでサッサっと次に行く人が大半かと思います。『じっくりと』か『サっと』読むのかは読書でも重要になってきます。

 普通はじっくりと読みながら、たまにサっと読み飛ばす。音楽読み重視の読み方をしている人が大半かと思います。それはそうしなければいけない、そうでないと本を読んだとはいえないという思い込みから来ていて、まずはその考え方から自由にならべなならないのです。

 どうやって自由になるのか? ためしに読み飛ばしてみましょう。完全に読み飛ばすのではなく、見出しと太字になっている部分ぐらいは読んで、一秒ぐらいページをじっと睨んでから飛ばすのです。人間の目というのは結構不思議なもので、ジーっと読んで集中していなくても、見ただけで結構頭の中に情報が入ってきます。もちろん音楽読みをしたほうが情報は脳に残りますので、その辺をどう配分するのかが読者の能力ということになります。目次を読んで、ザっと本を開いて見て、音楽読みと絵画読みのバランスを考え、実行する。それが出来れば速読は八割方成った、といっていいでしょう。あとの二割はたゆまぬ努力です。基本的に本は基礎知識があった方が早く読めますから(内容の把握に手間がとられないため)読めば読むほど早くなります。