本日青山ブックセンター本店にて行われた、神林長平+新世代作家トークショーに行ってきました。メインは今年デビュー30周年(ガンダムと同じ)を迎えた神林長平、新世代作家側には円城塔、桜坂洋、そして辻村美月の三人。SF作家、ライトノベル作家、ミステリィ作家と多様な作家陣と神林長平さんの人気のおかげか、会場に用意された120の席はほぼ満杯という盛況ぶりでした。
第一部第二部と分かれていて、最初の第一部は新世代作家三人による三者三様の神林語り。神林長平との出会いから好きな作品はどれか、与えられた影響はどんなものかと実に面白いトークで、常に笑いが起こっているような穏やかなムードで進行した(なんかそれっぽい言い回しだ)。誰もが自分なりの神林長平観を持っているのが、やっぱり面白いですよなあ。好きな作品もみんな違って、辻村さんは七胴落とし、桜坂洋さんは敵は海賊、円城塔さんは雪風(だったっけ?)と見事にばらばら。なぜ神林長平作品を語りづらいのかや、神林作品はよく磨きあげられた鏡である(辻村美月氏の発言)など、神林長平ファンなら誰しも頷いてしまうような納得な話の数々。またこのトークショーの中で、神林長平トリビュートというファンにはわくてかすぎるものが11月に出ることが明かにされた。(告知はここが初めて?)
さて、一時間ほどそうやって新世代作家三人による、神林長平語りを聞いた後に十五分の休憩をはさみ、ついに本丸の神林先生がお出ましとなった。自分はそこで初めて神林先生をみたのであるが、第一印象は常にニコニコしているいいおじさんであった(失礼)。全然若々しくて、これからの作品にも期待が倍増といったところである。といってもトークの中で先生は、自分の中では「膚の下」が人生の包括的作品であり、書き終えた後は老後、余生だと思って好き勝手やらせてもらっているという発言をしていてなんともなぁ〜と思った。余生でアンブロークンアロー書けちゃうんだぁ〜〜そら凄い余生もあったもんやなあ〜〜という感想である。
僕は神林作品をまだすべて読んだわけではないですが、今のところのベストはぶっちぎりで「膚の下」であり、読んだとき『これは神林作品の集大成や!!!』と叫んだこともあって(実際には叫んでいない)膚の下にはやっぱり思い入れがこもってるんだなぁ! と思って非常にうれしかった。膚の下に関しては他にも「慧慈は自分の分身だと思う」ということや、「膚の下はアトムなどに代表される、「意識をもった機械」たちが未来に生まれてきたときに、聖書とするようなものにしようと思って書いた」などのほぇぇぇ!!! とシンプルに驚かされることまで色々明かしてくれた。そのあとも楽しい話が続いて、最後に客席の中から一人の質問者が「ジャムって何ですか?」と率直な質問をして大盛り上がりのうちに幕を閉じた。サインもしっかりもらって帰ってきました。ほくほくです。