- 作者: 橋本治
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/11
- メディア: 新書
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目次
第1章 乱世と勝ち組(「勝ち組・負け組」の原理
「乱世」を考える)
第2章 たった一つの価値観に抗する(隠されたトリック
「勝ち組」という基準を持ち出した人達 ほか)
第3章 悲しき経済(経済とはなにか
誰かが考えてくれる経済 ほか)
第4章 どう生きてったらいいんだろう?(なんにも出来ない構造
どう生きてったらいいんだろう? ほか)
相変わらずぐだぐだの極みでひどいものですが、不思議と面白い面白いと思いながら読んでいました。途中までは。何故途中までなのか、確か第三章のあたりだったかな。何故世界は「勝ち組・負け組」、で二分されてしまったのかについての説明が終わり、何故今のような経済的閉塞感に世界が覆われていってしまったのかの説明が半分程行ったところです。橋本治は「世界が経済的閉塞感に包まれている」理由を「経済は限界に達した」として説明しています。もちろん一口に説明できるものではなく、複雑に絡み合った内容なので、ここには詳細は書きませんけれど、橋本治にしては珍しく断定口調の連続でふーん、という感じでした。この辺りから恐らく何を言っているのかわからないけど面白いな〜から何を言ってるのかよくわかんねーし仮にわかったとしても恐ろしくどーでもいいに変わりました。何ででしょう。わかりません。そのうち考えてみます。わかった。橋本治は何かぐだぐだ言っているけれど、ようは自分の頭でこれから先は考えてみろって言ってんだろ? それはわかったし、だからこそこっちはこっちで勝手にやるから、もうごちゃごちゃ同じような説明をするのはヤメロヨ!! とかそんな感じっぽいです。
システムの話が面白かったです。引用してみます。
いろいろなものが錯綜していて、それゆえにこそ不便な「世界」がある。だから、「これを整理してシステム化すれば便利になる」と思う。システム化すれば、方向性はどんどん「一つ」に近づいていく。なぜかと言えば、それこそが「便利なあり方」だからです。誰にとって便利かと言えば、それはもちろん、「システムにとって」で、「システム化を実現させて行く人にとって」です。それが「システムを利用する人」にとって便利かどうかは分かりません。それを「不便」と言えば、その人達はシステムから遠ざけられてしまう──それが「推進されるシステム化の究極の姿」で、「システム化」というものは、そういう方向を目指すものなのだから、仕方がありません。
村上春樹のエルサレムスピーチでも同じようなことを言っていましたね。上の文章を読んでさらによく理解できるようになった気がします。人間の生活を便利にさせるために、人間が生み出したシステムによって人間が右往左往している。これから先どんどん「便利」という一点に向けてシステムは邁進し続けていくのでしょうが、それがどうなるのかはわからんですよな。伊藤計劃の書いた「ハーモニー」の中では、行き過ぎたシステムに、「人間とシステムを一体化させる」ことで対抗手段としましたが、それ以外に人間がとりえる手段っていったいなんでしょうかね。それを考えていかなくてはならないだ、と橋本治は言っているのでしょうけれど、やっぱり今はまだわからんです。