基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

ほぼ日刊イトイ新聞の本

ほぼ日刊イトイ新聞の本 (講談社文庫)

ほぼ日刊イトイ新聞の本 (講談社文庫)

 ほぼ日刊イトイ新聞がなんなのかという話は、もう今更するには有名すぎますけれど、コピーライターの糸井重里氏が主宰し、またそれに集まってきたスタッフ、ゲストライターが日々更新するウェブサイトです。本書では、ほぼ日(ほぼ日刊イトイ新聞の略))がいかに生まれたか、生まれた後、どうやって運営されていったのかをわりと赤裸々に語っていきます。読んでいて、やはり「何かが出来上がっていく過程」というのは非常に面白いなーなどと考えていました。最近同じような例で一番面白かったのは、「ニコニコ動画」です。まだ誰でも会員登録を出来る、ぼくは出来たばっかりの頃に初めてニコニコ動画に触れたのですが、あの「今まさに出来上がりつつある新しい文化」の感覚が、とても面白い。なんでかなあ、「驚き」が面白さに繋がっているのは確かで、しかしその驚きはなかなか持続しないもので、「動画にコメントができるなんてすごい!!」という感動もいつしか「動画にコメントが出来ることは当然だ」になってしまう。だからなんだって新しいものは最初が一番面白い。

 また創刊時、糸井重里氏自身がインターネットにほとんど触れたところがないところから始まるので、いちいち「凄い!」と驚いているのが良かった。そういえばそうだったよな、インターネットって、今では当たり前になっちゃってるけど、凄いんだよな、と改めて実感させられる。インターネットから、自分はなんて大きなものを受け取っているのだろう。ぼくは結構、受けた恩はなんとかして返したい、恩を与えてくれた人に返さなくても、誰か他人にでもいいから還元しなければ、釣り合いが取れないと考えている人間なのでこの問題は結構切実だったりする。「インターネットから受けた恩を、いったいどうやって、誰に還元すればいいのか」
思ったけど、「インターネット上の情報は無料が基本」みたいな考え方はみんなが「インターネットから受け取った恩を、インターネットに返したい」と考えてスタンダードになっているのかもしれない。そうでもしないとぼくらはインターネットから受けた恩を永遠に返せないままだから。有料コンテンツが悪いと言っているわけではない。ただ有料コンテンツの場合、ぼくらはお金を払うという行為によって恩を返してしまっている。インターネットでは、無償の情報に対して無償の情報を出すことによって成り立たせることも「できる」隣人愛みたいな制度でやっていけることが凄いのではないか。