基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

家政婦が黙殺

 本日2月23日には篠房六郎先生の漫画が、『新装版 家政婦が黙殺』と『百舌谷さん逆上する』と何と二作品も同時に発売されましたのでテンションが上がりましたよ。この『新装版 家政婦が黙殺』は新装版と言う事ですが、今回初めて読みました。エログロヤクザヤバネタ系短編集だと思います。旧版にはなかった書きおろし「FUCKMAN」(バクマンのパロディ)のタイトルからしてその本書全体の内容は想像するべし、といったところ。ちなみにこの「FUCKMAN」凄い面白いですけど、言うまでもなくネタがかなりヤバイ!! たとえば漫画が特に理由はないんだけどなんかうまくいかねーとぼやくセイコーに対しての○ョージンとのやり取りとか。文字だけ引用。

 なんてこったセイコーの奴超リアルな漫画家の悩みにブチ当たって萎えてやがるな しかしなぜだ 奴は学校一有名なドスケベでその黒光りする外見と合わせて本名とは一切関係なくセイコーというあだ名を付けられたほどの男!!
 アニメ化するくらいの大ヒット漫画家になれば栗豆のクリをクリクリして思う存分やりまくれるという生臭いファンタジーが今までの奴に活力を与えてきたはず。

 「バクマンの二人をエロイ外道にしたら面白くね?」という飲み会の席での笑い話を作品にまで昇華させてしまったような作品です。この短編集は全体的にこんな感じで、既存の作品、傾向、テーマをいかに面白おかしくできるかに全力を傾けているところがあります。そのままではただのバカ話で終わってしまうところを、一つの作品にまで昇華してしまうのが篠房六郎先生の凄いところというもので。いったい何が彼を(彼女を?)そこまで駆り立てているのか……といえば、やはり既存の作品への感謝であり、その集積だろうなぁと思うのです。

 篠房六郎先生の凄いところはもちろんそれだけじゃあなく。百舌谷さんやナツノクモに描かれたようなような、人間同士の葛藤、すれ違い、それらがえぐりだす、真っ黒な部分。自分の心理にせよ他人の心理にせよ、「なんであの時あんな行動をしたんだろう?」と考えていけばわりとどす黒いものを発見してしまうものですが、それを見事にえぐりだしてしまうのだから、圧巻です。この短編集にはあまりそういった面は出ていませんけれどね。

新装版 家政婦が黙殺 篠房六郎短編集 (KCデラックス)

新装版 家政婦が黙殺 篠房六郎短編集 (KCデラックス)