基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

騙されない為に──『年金は本当にもらえるのか?/鈴木亘』

最近100歳以上の高齢者が次々と行方不明になっていますね。まあでもあれ、死んでない事にすれば年金貰い続ることができるとかいうアホな制度なんですから、こういうことが起こってしまうのは事前にわかりそうなもんですがね。というわけで年金。『年金は本当にもらえるのか?』ってもうほとんどの人は自分が充分に満足に足る年金給付を受けられるとは思ってないでしょう。「それでも自分はどれぐらいもらえるのか?」「年金制度についてなんとなく知りたい」という方にはオススメの一冊でした。凄くわかりやすいんだなぁ。
目次404 Blog Not Found:ねんきん定期便より本書を - 書評 - 年金は本当にもらえるのか?より。

はじめに
初級編――まずは基本から
Q1 とかく複雑で難しいという印象がある年金制度ですが、私のようなまったくの
「シロウト」でも理解できるでしょうか?
Q2  なぜ、年金制度はバラバラで複雑な仕組みなのでしょうか?
Q3 そもそも、年金制度とは、どのように運営されているのでしょうか?
Q4 保険料の引上げや給付カットを何度もしたのに、年金財政が苦しくなるのは、なぜですか?
Q5 年金は得な制度なのでしょうか、損な制度なのでしょうか?
Q6 年金制度は破綻するのですか? また、100年安心プランは大丈夫なのですか?
中級編――よくある誤解を正します
Q7 子どもが増えれば、年金財政の問題は解決しますか?
Q8 パートやアルバイトの人を年金に加入させると、年金財政はよくなるのでしょうか?
Q9 厚生労働省は「将来世代でも年金は2.3倍の得」といっていますが、本当ですか?
Q10 基礎年金の税方式化で、本当に消費税は17%になるのでしょうか?
Q11 未納が増えると、年金は破綻するのですか?
Q12 基礎年金の25年ルールの短縮化によって無年金者、低年金者は減少しますか?
上級編――年金は変えられます
Q13 現在の年金制度は自動安定化装置があるので、今後、年金改革は本当に不要なのでしょうか?
Q14 赤字化している年金財政を建て直すための改革は、いつ行われるのでしょうか?
Q15 民主党の年金改革で、年金制度は安心できる制度になるのでしょうか?
Q16 年金制度は莫大な債務超過になっているというのは本当ですか?
Q17 年金制度を積立方式にすることは、現実的に可能ですか?
Q18 年金積立金を、ハイリスク・ハイリターンの運用に切り替えるべきでしょうか?
巻末資料、「生まれ年・平均月収・世帯類型別、あなたのもらえる本当の年金額」

年金問題というのはとにかく話題に上りやすい議論ですけれども、いったいどれだけの人が問題を正しく認識できているのか、本書を読んだ後では疑問に思いますね。そもそも問題は大量にあるわけです。年金制度がこんなに複雑になってしまい非常にわかりづらくなってしまっているのは年金制度の元締めである厚生労働省の官僚や政治家の問題もあるそうです。

そいつらが情報を隠ぺい、粉飾したり一般市民に悟られないように給付カットなどのわかりやすい単語を「マクロ経済スライド」とかいう意味のわからない単語にしてはぐらかしたりと国の機関であることを理由にやりたい放題やっていることが、まず第一の問題だったりするわけですね。この点は本書全体を通して幾度も角度を変えて指摘しています。読んでいてまったく厚生労働省の事を信じられなくなりました(今までは信じていた訳ではなく無関心だった)

で、問題の本質はそもそも何なのかと言えば(そんなものがあるとして)それは現在の年金の一方式である、賦課方式が挙げられるでしょう。これが何なのかと言えば、現在の65歳以上の年金受給者への金を、現在年金を払っている人たちからの保険料によって賄われている制度のことです。これがなぜ問題なのかと言えば、どんどん少子高齢化社会になっていくにつれて老人が増え若者が減って、若者が支えなくちゃいけない負担が爆発的に増えていることなんですよね。

そもそも最初はこんな自転車操業的なやり方ではなく、積立方式、様するに僕らが保険料を払えばそれはそのまま蓄えられていって、老後は自分が蓄えた保険料をもらうよ、っていうまあ真っとうといえば真っとうな方式だったんですよね。ただ途中で積立てた金を政治家が大盤振る舞いしてかなりの部分消えちゃったせいで、そのせいで無くなった分を現在の世代からスライドさせなくちゃいけなくなったそうです。

本書ではそのような状態(自転車操業少子高齢化で若者あっぷあっぷ)の解決策として、保険料として徴収するのではなく、消費税を年金の為だけに特別に増税する「目的消費税」によって未納問題も含めて解消する案を提示しています。これにより若い世代だけに負担がかからずに、高齢者にも負担を分割し、さらには未納者までいなくなるという割と画期的な案ですね。

なんにせよ歪みまくっている制度を立てなおすのですから若者に負担がかかるのは必至です。それだったらそもそも「年金は本当にひつようなのか?」と問いたいところ。いってみれば単なる将来への保険ですからね、年金なんて。それを非高率な国に預けて好き勝手運用されてあまつさえ時には使いこまれたりするのは正直冗談じゃありません。

完全に年金を民間に委託するか、もしくはそれこそベーシックインカムのように余計な計算をやめて完全な配分を目指すか。どっちかに振り切れてしまった方が、ほとんど破綻していてボロボロの制度を修繕しながら進むよりかはいいんじゃないかなあと、素人考えだと思ってしまいました。

後日談というか今回のオチ。ここで最初の問題に戻るのです。そう、100歳以上の高齢者が次々と行方不明になっているあの問題です。このまま全ての人が両親の死を国に報告せずに年金をもらい続ければ──ベーシックインカムが、特に何の法案も通さずに達成できることになります。わたし達が選択すべしは、年金をこのまま放置しておくことなのではないでしょうか(どうでもいい。

年金は本当にもらえるのか? (ちくま新書)

年金は本当にもらえるのか? (ちくま新書)