基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

驚異の百科事典男を読んでいる途中経過・雑学メモ

『驚異の百科事典男 世界一頭のいい人間になる!』という本を読んでいます。だいたい700P中の500Pまで読みました。ブリタニカ百科事典という、アメリカにおける百科事典の代表格的存在を、AからZまで読みとおすという試みです。これがもうめちゃくちゃ面白い。暇さえあればページをめくっています。

その魅力については、また明日書くとして(笑って、泣けて、しんみりとして、ラブロマンスを感じて、知識を得られ、主人公(著者のジェイコブズ)の成長物語としても読める、超面白い一冊なのだ! ということを書きます。)とりあえず今日は、付箋をはったところがあまりにも多すぎるので(500ページまで読んで30か所はある)書いておきたいと思います。

著者のジェイコブズはブリタニカ百科事典を読んでいく過程で、誰かれ構わず自分の雑学を披露したくてたまらなくなっていきますけれども、僕だってそれと同じで一端吐き出しておかないと、パンクしてしまうのです。

アリストテレス

アリストテレスは結婚についての格言を残している。それは、「男は三十七歳、女は十八歳で結婚するのがよい」というものだ。なんでそんな格言・理論を残したのかと言うと、アリストテレス自身が三十七歳のときに、十八歳の女の人と結婚したからだそうだ。著者のジェイコブズは、「彼は若い娘が好きだった*1」という結論でまとめているけれども、僕はただ単に「彼は自分が世界一の幸せものだと惚気ていた」というのが正しいのではないかと思った。

courtship(求愛)

ソードテイル・カラシンという魚のナンパ方法は以下の通り。1.この魚の雄はエラから長い糸のようなものが出ていて、これが彼らの好物であるミジンコのように見える。2.当然雌はそれに引き寄せられる。3.いただかれる。これは当然のことながら人間の恋愛にも適応できるだろう。だれだって付き合う前はエサをちらつかせて、自分のことを良く見せたがるものだ。逆に言えばこうも言えるのかもしれない。「少なくとも付き合うところまでは、騙しの技術が重要である」その後のことはこの項目には書いていない。

embalming(遺体防腐処理)

 ぼくは"抜け穴"に関する情報を集めるうちに、人間というものは下劣で、ずるくて、悪賢くて、信用ならない生き物だという結論に達した。新約聖書は剣をとるなと教えている。では中世の聖職者はどうしたか? 棍棒をとったのだ。どうやら彼らは鋭い刃のある長い金属を使わないかぎり、人の頭をぶん殴ってもイエスの教えに反しないと考えたらしい。聖職者と言えば、修道士は金曜日に肉を食べることを禁じられていた。すると彼らは──こちらは理屈もよくわからないのだが、兎の赤ん坊は魚だということにした。それから、建国時代のアメリカでは九柱戯(ボウリングの原型、ピンを九本立てる)を禁止されていたとされる。ではボウリング・ファンはどうしたか? ピンを一本加えて十柱戯を愉しんだ。*2

遺体防腐処理と何の関係があるのという話はおいといて(この話は遺体防腐処理の項目のところに書かれている)この話は非常に興味深い。ただ僕は下劣なわけでも信用ならないわけでもないと思う。ボウリングを禁止するとか、肉を食べるのを禁じるとかは、意味が良く分からず、護るのが困難なことだからだ。時と場合によっては(特に中世の時代なんかは)相手を殴ったりすることを禁止するのも、大変難しかったことだろう。要するに、ルールにまどわされるより、「臨機応変に」対応することは僕は正しいと思う。

しかし聖職者たちの話は面白い。棍棒で殴り合う聖職者たちの絵はなかなか愉快である。でもその絵をみたキリストは怒らないだろうけど喜びもしないだろうな。笑うかもしんない。

Greenland(グリーンランド

この項目は大変勉強になった。なぜアホのように寒い氷の大陸であるグリーンランドが、「緑の国」などと呼ばれているのか、という問いに対しての答えが出た。著者も疑問だったようだが僕もずっと疑問だった。その答えはこうだ。紀元後九八二年に殺人の罪でアイスランドから追放されたエリックなる人物が、多くの人たちに移住してもらいたいと思って、そう名付けたのだ。要するに、詐欺ったわけである。誰もそのあと改名しなかったのかとか、なんで追放された人間が土地の名前を決められるのかとか、よくわからないけれどももし改名したとしても「殺伐とした国」とか「何にもない国」とか「無意味に寒い国」にしかならなくて、そんな憂鬱な地名は世界にあんまり増えて欲しくないし『キノの国』で真に会っているので「緑の国」で大変よろしいと思う。

Julie(ジュリー)<ジュリーは著者のジェイコブズの妻

Julich(神聖ローマ帝国下で侯爵領だった町ユーリッヒ)とJulijske Alpe(ユリアンアルプス)のあいだに、青のボールペンで小さな書き込みがしてあった。"ジュリーはどこ?"
 ぼくは思わず噴き出した。ジュリーがJの巻を覗いて、悪戯書きをしたのだ。ぼくは居間へ行って、きみの名前は旧姓のシェーンバーグ(オーストラリアの作曲家)で出ているはずだ。きっと情報を新しくする暇がなかったんだね、と言った。

本書の面白い点の一つに、これが読書"日記"であるというのがある。だから本書にはジェイコブズが行った場所やったことあった人が大量に出てくる。その周囲の人たちの反応がまた面白いのだが(ジェイコブズ氏が少しでもミスをするとみんな「おいおい、まだそれは百科事典では教えてもらってないのか?」と茶化す)中でも一番出てくるのが妻のジュリーで、ジュリーが出てくる話は笑える上にそのラブラブっぷりが読んでいて非常に楽しい。

kappa(河童)

 超自然的な存在としては、今まで読んだ中で一番奇妙なのがこれだ。この日本の「吸血鬼にも似た好色な生き物」はキュウリが好きで、鱗のある緑色の猿のような姿をし、頭頂部のくぼみから魔法の水がこぼれるのを恐れて絶対に下を向かない。こんなものを誰が考えたのか知らないが、きっとその人の食べていたキノコはシイタケじゃないだろう。*3

エッセー

などなど。実際はもっとあるのだが、面倒くさくなった(おい)。本格的なのはまた明日書きます。最後におまけで一つ。モンテーニュが作ったエッセーという言葉は、日本では随筆の意味として使われているけれども本来は「試み」あるいは「試行錯誤」という意味だったという。僕はこの言葉が好きだ。もし今ブログを作ってたらエッセーになってただろうな。もしこのブログのタイトルが明日からエッセーになっていたとしても、どうか驚かないでいてほしいと思う。

驚異の百科事典男 世界一頭のいい人間になる!

驚異の百科事典男 世界一頭のいい人間になる!

*1:p.48

*2:p.147

*3:p.314