基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

キラ☆キラ

ノベルゲーム。Iphoneアプリで今回の震災の為に、2200円のところを450円に値下げし、その売り上げを寄付するというので特に明確な意志の元「やろう」と思ったのではなく、とりあえず買ってみたのです。が、試しに触りだけやってみようかな、と思いやってみたところ、なんというか、一瞬でひきこまれてしまってやめられなくなってしまった。で、そのまま最後までクリアして茫然としてしまいました。とんだひろいものじゃないかと。

まだ全部終わったわけではないのだけれども、今日でセールが終わってしまうらしいので今のうちに一応(そそのかされる人もいないと思うけど)おすすめしておきます。バンドと青春の話です。ヒロインは三人いて、幼馴染の真面目なお姉さんと、ちょっと天然気味な元気少女と、病弱なお金持ちのお嬢さんといういかにもな三人。これに主人公を加えた四人で、パンクロッカーとしての道を歩き始めるのです。

作中で主人公が、色んな要素があるゲームが好きなんだというようなことを言っていた気がしますけど、このシナリオもまさにそんな感じ。アマチュアバンドが生まれてから、楽器が上達していくまでの楽しさ。ライブの楽しさ。それから青春の楽しさ。こういったキラキラした楽しさが書かれていきます。多くの人が今も青春時代を思い返し、こうして何度も何度もゲームになるのは、やっぱりそこに憧れがあるからなんだろうなあ。

青春っていうのは、あれなんですよ。未来に現実的な感覚を持たなくても良くて、なんとなく夢を語って日々を過ごしていられる、そういう時期なんだと思います。社会的なしがらみからある程度は逃れられ、個人の意見もようやく一人の人間として認められるようになってくる。自由な時期といってもいいかもしれない。それが本当に楽しそうに面白く書かれていて、とっても良かった。楽しませようっていう気概が、伝わってくる。

逆に、偉いな、と思うのが、共通の場面が終わり、各ルートに入っていくと途端に現実の重さがのしかかってくるところ。学校を卒業して、本気でプロになろうと思ってバンドをやっていこうと思ったら色々つらいことがあるに決まっています。ちょっとしたいざこざがありながらも、楽しく青春をやって、はいそれでおしまい、という話ではない。そういう重さまで追っかけて行くんですよね。

特にメインヒロインっぽいきらりルートはつらい。ただつらいだけじゃなく、希望が見えるところが凄いところだけれど。作中のパンクについての台詞で、何かが欠けている人間が、その欠けた何かをパンクで埋め合わせる為に歌うんだ、というようなことを言っていた。これ、物語を書く側にも同じことが言えると思うのですよね。

何かが欠けていて、何かが不満足だから、せめて物語の中だけにでも欠けていない完全な世界を創り上げようとする。それは物語を受け取る側からしても、希望だったりになりえる。ただだからといって周りに女の子がいっぱいいてハーレムで幸せハッピーという話では、それは気持ちの良い夢だけど、それでは満足できない時もある。

普段予期せず訪れる理不尽な現象、目の前が真っ暗になるような絶望的な状況の中に居てなお、その先には確かな希望がある。どうしようもない最悪の状況でもそこには何かがある。僕が好きなのはそういった物語で、このゲームの表現もまさにそんな感じ。シナリオの人の名前をよく見てなかったんだけど、割と有名な人っぽいですね。

とにかく、面白かったです。こんなに熱中したのは久しぶりかも。あとは余談。もうパソコンゲームをやるのは無理かな、と思ってたんですよ。パソコンの前に座って、クリックし続けるのがもうつらいので。テレビの前にもじっと座っていることさえ難しくて、パソコンの前でもじっと何かをやるっていうのが我慢できない。

Iphoneでどこでも出来なかったらここまでハマらなかったかもしれない。本当に、ふと思い立った瞬間にできるのが大きいです。僕なんかヤバイぐらいのめんどくさがりなんで、外に出た時なんかも、鞄に入った本を出して、また読み終えた時に鞄に戻すのが面倒くさい。だからか最近はついついやってないゲームがいっぱい入ったIphoneを開いてしまう。

アプリになってくれたことにも感謝、ということで。

なあ村上、大事なのは瞬間に全てをかけることなんだ。パンクロックはスパークだ。そう思わないか?