おうおうこれは面白い。化物語セカンドシーズン、絶好調で驀進していますね。阿良々木君が女の子に関わり、その結果として阿良々木君があーなったりこーなったり成長っぽくしていったりしていったのがファーストシーズンだとすれば、セカンドシーズンとはそうやって阿良々木君と関わり、変わっていった女の子たち自身の物語なのでしょう。「これでこの物語シリーズに決着をつけてやる」という意志が、びんびんと伝わってきます。傾物語は正直アレっ?って感じでしたけどね。
まああんまりネタバレとか気にせずに書いて行きましょう。当然あらすじも書きません。そんな物はもう二度と書きません(つまらないから)(でもたぶん嘘)。しかし神原駿河の一人称とは驚きでした。考えてみれば、物語ヒロインズの中で一番内面がよくわからないキャラクターかもしれませんね。何かを演じているようで、あまり何を思っているのかが表に出てこない、というイメージが僕の中には読んできてあります。
というわけで読んでいて神原の、外面と内面のギャップを強く意識させられた巻でした。うわーこんなこと考えていたのか―っていう。よく書こうと思って、また書けたものだなと。猫物語の時も驚きでしたけどね。外から見るのと、中から見るのとでは、当然ながら多くの事が違います。そういった視点の移動が自由に出来るのが小説の良いところですね。ただ難しいことではある。
たとえば僕はこのブログでは「僕」と書いているけれど、随分前にオンラインゲームをプレイしていた時の一人称は「俺」ですし、ノリも随分違います。現実では親しい友人間では「俺」ですし、それ程親しくない人達と会話をする時は「僕」です。人称一つとっても人とコミュニティごとにばらばらであり、当然ながら話す内容、調子、性格、ばらばらであると思います。
人によっては「どれが本当の自分なんだ……」と悩むかもしれませんが、まあ普通に考えたらどれも自分ですよね。「本当の自分」が存在するとか言う考え方が、どうも僕には受け入れられません。そういえば阿良々木君の作中の台詞で、自分は誰にも彼にもその場で最大限合わせた演技をしてしまうんだみたいなのがありましたけど、さすがに本人が言うだけあって的確な台詞だなと思いました。
当人が自分について語るから的書くだなんて事はあんまりないことかもしれませんけどね。結構みんな、自分の事を分析せずに、自分の周りを頑張って分析しようとしているような気がします。まあそれがこの花物語開始時点での神原だった、というところでしょうか。
今まで阿良々木君視点で見てきた人物を、見られてきた人物で書くというのはつまりそれぐらい多大なギャップがあることを書くわけで、納得させるのは難しいのでは、というか、それっぽくギャップを演出しつつ、しかしそれでなおかつキャラを崩壊させないようにするのは難しいのでは、と思ったのでした。まあ実際書いてみれば結構簡単なのかもしれませんけどね。そんな気もする。
そういえば花物語って、草冠をとってしまえば化物語ですね。草冠ねえ、何か意味があるのかな。あと傾物語にも化の字が入っているし、次作の囮物語にもいわずもがな、化の字が入っています。凄い、なかなかこってますね。他に化の字が入っている漢字ってあるかなあ。うーん、ちょっと思いつかない。しかし傾がそう考えると、なかなか凄い『化』の見出し方ですね。イヒ物語とか、だともうギャグか(笑)
いやしかし、他の人の評価はわからないけれど(こんな事をわざわざ書くのは、あんまり評判は平均してよくなさそうだな、と思っているからです)、結構僕好みの話でした。物語自体は、まあほとんどどうでもいいんだけど……、映像が綺麗なのです。最後の場面とか、アニメで観たいなあ。あと阿良々木君はちょっとかっこいいこと言いすぎだと思う。神原視点だからかな。
- 作者: 西尾維新,VOFAN
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