この物語シリーズも、ずいぶんと長いシリーズになったものだ。
最近完結しためだかボックスしかり、戯言シリーズしかり、どうにも西尾維新殿の物語収拾能力は低いと言わざるをえない。最初から巻数を厳密に規定されていた刀語と、元々一巻物として書かれたもの以外、まともに終わっていないじゃないか──まあ何を「まともな終わり方」というのかは、またの機会に譲るにしても。
そんなわけで物語収拾にあけくれている『暦物語』。といっても、過去から一ヶ月ごとに振り返っていく短篇集なのだが。阿良々木さんが、各キャラクタの間をまわり、話をしたり怪異を収集したり、まあ原点回帰のようにボケとツッコミを繰り返す、そんなお話になっている。その内容は、まったくもって著者の言葉通り。
本来第二作は『終物語』のはずだったのに、どうして『憑物語』と『終物語』の間に本書が登場したのかといえば、シリーズ第一作である『化物語』から数えて、シリーズ冊数的にも年数的にもかなり遠いところまで来たので、最初の頃と現在とが繋がっていないようにも思えてきたゆえ、改めて阿良々木暦が過ごした一年を振り返り、繋がりを確認してみたかったという作者的事情によるものです。
もうすっかりこの物語シリーズのかけあい、やりとりにも飽きてきたところなわけですが、飽きていないならば楽しめ、飽きているのならば物語の行方をおうためにはあまり読む必要もないような、長年食卓のお供にいる漬物みたいな立ち位置になっております。個人的には、もうすっかりこのやりとりには飽きてしまった。
うん、でも短編はくっだらない出来損ないみたいな、キャラ間のやり取り以外見どころが皆無の内容のものもあれば、なかなか感心してしまう出来のものもあって、やり取り以外の短編としての部分では楽しく読んだ。思えば西尾維新の短編ってあんまり読んだことがないなあ。というか、初めて読むかもしれない。まあほとんどの著作が短篇集みたいなもんだろといえないこともないが──そうはいっても、新鮮な一冊だった。
『まあまた何か間に挟まるかもしれませんが』などと最後あとがきに書かれているが、なんとか順当に終わってくれることを望む。
- 作者: 西尾維新,VOFAN
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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