基本読書

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情報社会のいま ―あたらしい智民たちへ

なんだかよくわかんない部分も多かったが、題名の通り情報社会の現在を把握する本として面白かった。ただ副題に智民たちへ、と入っているように、わっけわかんない造語をふんだんに使うスタイルには最後まで馴染めないまま終わった。智業化、智民化、智場化、とありとあらゆるものに智をつけて新しい単語を創造していくのだが、そうする必然性があまりにも弱すぎるのではないか。

そこさえ気にならなければ、「情報化」の意味と、それがもたらすソーシャルメディアの威力、革新性、といったものが割とすんなり理解できると思う。最近話題になっているベーシック・インカムのような話は、何も気まぐれで新しい思想だからみんなが飛びついている言っているわけではなくて、必要に迫られてのものなのだな、と僕などはこの本を読んでいて思った。

要するに、それらは避けられないものなのだ。情報化が進展するにつれて今までのいわゆる「産業化」の時代とは異なった価値観が支配するようになる。産業革命によりモノやサービスはお金を払って受けるものへと移り変わっていったが、情報革命により、もはや情報は無償化されほとんどの作業はボランティアのような形で行われサービスもまた非商品化していく。

まあ、その辺は割とよくわかんないんですが。だいたい僕は情報がタダになるべきか? と考えると、実はそう考えていないのですし、ましてやサービスが非商品化するというのは全然理解できない。しかし本書は競争がなくなりみんながお互いに共働する未来を想定しているわけであって、その前提にたって考えると、物を得る仕組みというか、社会全体の仕組みが作り変わってしまう以上そのような社会で生きていく為の今までとはまったく違った仕組みが必要なのだ。

わかりずらいけど、ベーシック・インカムのようなものはその必然性の中から考えだされているんだろう。貨幣経済でうまくいっていたところをすぐにではなくてもこれから段々と捨てていかなくてはいけない。だから今必要なのは「こうやったらベーシック・インカムできるんじゃない?」という提案に対して「そんな案じゃベーシック・インカムなんか出来るわけねえよ」という反対的な態度ではなく、

「もうなんとかして新たな仕組みを作らないといけないんだからなんとかしてベーシック・インカムでも公共善だか共通善だかでも見出してかなアカン」という態度なのかな、と思ったのだ。本書でも思い付きのようにぽんとベーシック・インカムの案が語られているが、必要なのはその一歩前の段階、「なぜベーシック・インカムが必要なのか」に対する切実な答えだろう。

それにしてもソーシャル・メディアとしてフェイスブックツイッターの凄さみたいなのがいっぱい語られるんですが、いかんせん僕はツイッターとか結構飽きてきてるんですよね。よく語られている貨幣経済から評判経済へ、みたいな、これからは金より評判だ! みたいな流れも、実はよくわかんない。

わからないからこれからも色々本を読んで、考えていこう。この本は現状整理として面白かったです。わかんない未来を予測する方法として、S字波モデルとかいうのも出てきますしね。そう、本当はこういうものを頼るべきなんだろうな。

情報社会のいま ―あたらしい智民たちへ

情報社会のいま ―あたらしい智民たちへ