漫画。著者は道満晴明さんというらしい。初めて聞いた名前。
この作品は一遍8Pのショートショート集。もうここ最近は何十巻といった漫画を読む気力が完全になくなっている。完結しているならともかくほとんどの作品は完結していないしいつ完結するのかもわからないし、そもそも長いと読む気が失せるし場所を取る。だから買う漫画といったらこういった短くまとまっている短篇集が多くなる。
最近だと「外天楼」とか。気軽に楽しめて良い物は良いので大変楽しい。その文脈で本書も読んでみたのだけれども、これがまた良い。最初の話は動物園で動物に食われて自殺しようとしているキッチーな女の子が虎と会話して仲良くなって虎に自殺を思いとどまらしてもらう短編で奇想。
2つ目の短編はBL幽霊。3つ目は部室でしりとりをしているところから始まるが、外に出ると人食いお化けみたいなのがいて負けるとそいつから逃げるためにダッシュしないといけない。普通に首が飛ぶグロテスクな話だけど女の子がかわいい。しりとりで負けるとダッシュしてでも首が飛ぶのはギャップがシュールだ。
6つめの短編フェイスハガーでは女の子らしく赤い糸、恋占いをして望みどおりの結果がデなかったので左手を切り落とした女の子の話。左手は街をさまよい新しい運命の相手を探すというなかなかに怖い話だが、この左手を切り落とした女の子の冒頭の会話に虎とつきあっている友人の話が出てくる。
奇想ぞろいで話のネタもあっちこっちへ飛びまくりだけど世界観が一つにまとまっているぽいのが面白い。この後も西部劇があればヒーロー物もあればポケモンみたいなので戦うわけのわからない世界もあって愉快愉快。短篇集とはやはりこういうのでなくてはならぬ。
7つめの短編ヒールとスニーカーでは体がつながってしまっている姉妹が出てきてショートショートということもあいまって萩尾望都の『半神』を彷彿とさせる。
ネタは豊富で女の子はかわいくてとても面白かったです。「外天楼」に続いて短編漫画ブームがこないかなあ。連作短編よりも、短編ごとにまったく違うテーマというか世界観を見せてくれるものが好みですね。その上でそれらが一つの土台に載っていると(矛盾しているようだけど)ベスト。
そういう意味じゃあ本作はど真ん中です。
- 作者: 道満晴明
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/01/30
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