基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

カブトムシとクワガタの最新科学

タイトル通りカブトムシとクタガタについて色々知ることが出来る本なのでカブトムシとクワガタについて知りたい人は買うといい(直球)。でもほんとにそれだけの本だからなあ(笑)むしろカブトムシとクワガタについて研究することの社会的な意義などを聞かされても困ってしまうのでシンプル、だけど驚きの内容だ。

たとえばカブトムシとクワガタについてこんな新事実が著者の研究によって明かされている

・カブトムシやクワガタはよく喧嘩をすると思われているが、ツノを突き合わせた段階でお互いの力量をはかって負けそうだなと判断すると降りてしまう。
・実はツノのついていないカブトムシのメスもメス同士で喧嘩する。しかもこいつらはお互いの力量を図らないでいきなり取っ組み合うから怖い(女の喧嘩ってそういうもんなのかな)
・体の小さなオスは闘争に勝てない代わりに移動距離を多くしてメスとの接触機会を多くするため個体として多く生き残っている。
・オスはメスと交尾しようと飯を食っている最中のメスに強制的に挿入しようとするが殆どの場合拒否される(122例中120例)
・でもそのあとしつこく挑戦し続けると大抵の場合やらせてくれる。
・ヤリ終わったオスは用済みだ!! とばかりにご自慢のツノでメスを投げ飛ばす。
・しつこくやらせろよ〜と言い続けても結局やらせてくれないと同じようにご自慢のツノでメスを投げ飛ばす。

いやーカブトムシのオス、クソだなあ(笑)もっともヤラせてくれないヤツにいつまでも餌場を独占されてたら生存戦略に関わる致命的な損失だから投げ飛ばしても当然なんですけど。メスが最初に生殖を拒否するのは基本的に一回やれば後はどうでもいいのと、ヤッてもヤラなくてもどうせ投げ飛ばされるから焦らしている間に飯を食おうってことみたいです。クズなように見えてもお互いに必死なんだなあ。人間界のいっけんクズに見える人達もみんなそれぞれの生存戦略城必死なのかもしれないと心が大きくなりますね。なりませんけど。

しかし読んでいて驚いたのはカブトムシとクワガタの知られざる生態はもちろんですけど、著者のハードワーカーっぷりも凄い。たとえばカブトムシの生殖を調べている時の内容とか、ほとんど狂気。

信じられないかもしれませんが、ワタシは雑木林内のカブトムシの交尾状況をほぼすべて把握していました。野生のカブトムシが何回交尾をしたかなんて、観測できるはずがないと思われているかもしれませんが、カブトムシの交尾における二つの習性を利用すれば、私一人でも把握は可能です。

二つの習性とは、1.樹液の餌場でしか交尾しない。2.30分交尾にはかかる。 なのでどこかで交尾が始まったら雑木林の中をかけずり回って他の樹液場所を全部見て回り交尾が他の箇所で起こっていないかを確認すれば、交尾状況をすべて把握できることになる。しかもカブトムシとかは夜にしか基本おらんので、午後7時から朝の5時とかまで半日これをやるのだ。気が狂っているとしか思えない。

あとカブトムシへの愛が凄い。

なかでも、最も交尾をしたオスは、なんと12回。この個体は、これまで見てきたなかでも最大級の大きさを誇るオスで(交尾観察した2年間のなかで、体サイズは最高の82.90mm)ケンカも強く23勝2敗とほぼ負け知らず、まさにエースと言える個体でした。さらにこれは彼を追跡することができた約1週刊の数字だから驚きです。毎日まったく同じ木のまったく同じ餌場に出現し、そこにやってくる他のオスたちを蹴散らして、1日に1回以上メスと交尾していたことになります(実際、一晩に3回交尾するのを観察しました)。ちなみに1週間しか追跡できなかった理由は、この個体が例のフクロウ夫婦に食べられてしまったためです。ある日足元に転がっている彼の死体を見つけた時は、本当にショックを受けました。

もはやいうことはない……。著者のカブトムシ愛を堪能できる一冊です(そんな紹介の仕方でいいのか。

カブトムシとクワガタの最新科学 (メディアファクトリー新書)

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