基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

編集:森博嗣──『MORI Magazine』

MORI Magazine

MORI Magazine

『MORI Magazine』は森博嗣さん編集の雑誌──という体裁の書籍である。分類的にはエッセイ本になるだろうが、他にもインタビューを受けていたり、読者の質問にガシガシ答えていたり最近のお仕事について語っていたりする、日記ともエッセイとも読者交流本とも言い難い、雑誌的な書籍であるというのが近いだろう。

もともと大和書房から森博嗣さんは『正直に語る100の講義』などの、2ページで1つのテーマでエッセイが書かれているシリーズがでていたのだけれども、こちらはお題に対して「2ページじゃなくてもっと読みたいな」とか「1ページでいいんじゃないか」とか、決まったフォーマットからくる堅苦しさみたいなところもあった。今回は、そうした制約から自由になっており、かつこれまで森博嗣さんが新書や日記でやってきたことのごった煮性も併せ持っている。それがスタイルとしては楽しい。

最近日記ではめったに時事ネタに触れなくなってしまった森博嗣さんだが、本書では「二〇一六年を振り返る」として時事ネタに対してコメントしていくコーナーもあったりして、全般的に昔懐かしい感じだ。あと、中でも重要なのは装画をコジマケン氏がやっており、本の体裁的にはかつて存在した浮遊研究室シリーズを彷彿とさせる(架空の登場人物との対話形式など)。とまあそんな感じの本です。

ついでなので以下、過去の日記シリーズを簡単に紹介しよう。

I Say Essay Everyday series

すべてがEになる I Say Essay Everyday

すべてがEになる I Say Essay Everyday

初期の日記シリーズ。時事ネタに多く触れていたり、後の日記ではほぼ現れない、読んだ本についての感想なども読める貴重な本。発言も相対的に比べると後期よりも過激。ここで語られたことが後に何度も語られる元になっていることも多く、内容の充実度としては一番だと思う。あと、最終巻の萩尾望都先生絵の表紙が素晴らしい。全五巻。電子書籍あり。これは巻数が少ないこともあってMLAよりも読み返した。

浮遊研究室シリーズ

森博嗣の浮遊研究室 MORI Hiroshi's Floating Laboratory (ダ・ヴィンチ・ブックス)

森博嗣の浮遊研究室 MORI Hiroshi's Floating Laboratory (ダ・ヴィンチ・ブックス)

WEBダヴィンチでの連載をまとめたもの。架空のキャラクタとして4人(うち一人は森博嗣)が登場し、あーでもないこーでもないと恐ろしくどうでもいいことだったり、わりと真面目なことについてだったり、時折ミステリや小説全般をテーマにざっくばらんに会話をしていく形式である。全五巻になるが、今は手に入りづらいかな。

MORI LOG ACADEMY series

MORI LOG ACADEMY〈1〉 (ダ・ヴィンチ ブックス)

MORI LOG ACADEMY〈1〉 (ダ・ヴィンチ ブックス)

言わずと知れた森博嗣さんの日記シリーズ。日々の日記およびエッセイと、日替わりの講義で構成されている。Web連載時から何度も読んだし、本になってからも何度も読んだ。僕の物の考え方はほとんどここから学んだのではないか、というぐらいに発想の元ネタと理屈の立て方が詰まっている本である。全13巻