基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

デジタルデバイスで読むことで「深い読み」は損なわれるのか?──『デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』

デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる作者:メアリアン・ウルフ出版社/メーカー: インターシフト (合同出版)発売日: 2020/02/06メディア: 単行本文字を読む時、その時脳の中では何が起こっているのか。また、文…

『三体』の劉慈欣が「近未来SF小説の頂点」とまで言った、ページをめくる手が止まらない圧巻の中国SF──『荒潮』

荒潮 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:陳 楸帆発売日: 2020/01/23メディア: 新書この『荒潮』は中国のSF作家を代表する一人と言われる陳楸帆による初の(そして今のところ唯一の)長篇SF小説である。陳楸帆の小説は、日本でも刊行された現代中国SFアン…

『ゲド戦記』や『闇の左手』のル・グインによる、最後のエッセイ──『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて』

暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて: ル=グウィンのエッセイ作者:アーシュラ・K・ル=グウィン出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2020/01/25メディア: 単行本ル・グインは何をおいても『闇の左手』や『ゲド戦記』の、類まれなSF作家・ファ…

政策立案は生物学の一分野である──『社会はどう進化するのか:進化生物学が拓く新しい世界観』

社会はどう進化するのか——進化生物学が拓く新しい世界観作者:デイヴィッド・スローン・ウィルソン出版社/メーカー: 亜紀書房発売日: 2020/01/24メディア: 単行本人間個人も、人間社会も、進化による大きな影響を受けている。ゆえに、現代の諸問題を解決し、…

役に立たないとは言うものの、これほど役に立つ本はない──『ハウ・トゥー:バカバカしくて役に立たない暮らしの科学』

ハウ・トゥー バカバカしくて役に立たない暮らしの科学作者:ランドール マンロー出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2020/01/23メディア: Kindle版この『ハウ・トゥー』は、「太陽の光が突然消えたら、地球はどうなる?」「アメリカを完全な廃墟にするには何…

崩壊しかかっている作品をメタ的な観点から強引にまとめあげる、パワーワード連発のSF問題作──『大絶滅恐竜タイムウォーズ』

大絶滅恐竜タイムウォーズ (ハヤカワ文庫JA)作者:草野 原々出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/12/19メディア: 文庫『最後にして最初のアイドル』の草野原々による………なんだ? なんだかよくわからないが、とにかく進化と宇宙と時空がめちゃくちゃになっ…

存在しない書物についての書評集にして、レムの代表作の一つ──『完全な真空』

SF

完全な真空 (河出文庫)作者:スタニスワフ・レム出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2020/01/07メディア: 文庫この『完全な真空』は『ソラリス』のスタニスワフ・レムの代表作のひとつにして、存在しない書物についての書評集である。もともと単行本として…

『暴力の人類史』のピンカーが語る、理性と共感によって未来がより豊かになっていく根拠──『21世紀の啓蒙:理性、科学、ヒューマニズム、進歩』

21世紀の啓蒙 上: 理性、科学、ヒューマニズム、進歩作者:スティーブン ピンカー出版社/メーカー: 草思社発売日: 2019/12/18メディア: 単行本この『21世紀の啓蒙』は、『暴力の人類史』で一躍その名を轟かせたスティーヴン・ピンカーによる啓蒙の啓蒙の書で…

魔法が混ぜ合わされた難民・移動文学──『西への出口』

西への出口 (新潮クレスト・ブックス)作者:モーシン ハミッド出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2019/12/24メディア: 単行本この『西への出口』は、パキスタンに生まれた後、アメリカにわたり英語で作品を発表し続けている(今はパキスタン、ロンドン、ニュー…

なぜ人類は国家を作り、発展させられたのか?──『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』

反穀物の人類史――国家誕生のディープヒストリー作者:ジェームズ・C・スコット出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/12/21メディア: 単行本我々人類の大半は今は家畜を飼い、農耕を行い、足りない分を輸入することで定住生活を営んでいる。一般的に、そう…

銀河サイズの超知能AIはどのように思考するか? などはるか未来の知能の在り方が模索される──『LIFE3.0――人工知能時代に人間であるということ』

LIFE3.0──人工知能時代に人間であるということ作者:マックス・テグマーク出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2019/12/27メディア: 単行本この『LIFE3.0』は人間の知能を遥かに超えた超知能AIが出現したら何が起こり得るのかを、AIの安全性研究や有識…

《天冥の標》から『息吹』まで、多数の傑作SFが刊行された2019年を振り返る

息吹作者:テッド・チャン出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/12/04メディア: 単行本 傑作揃いの短篇集 今年のSFでまず中心的に語っておきたいのは*1、素晴らしい短篇集が多数出たことだ。たとえばテッド・チャン『息吹』は著者一七年ぶりのSF短篇集で…