基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か by 小林雅一

ディープラーニング、機械学習、人工知能……正確な未来予測は無理でも、だいたいの方向性において人類は「技術的な進歩」を重ねてきたし、これからも重ねていくだろうということは予測できる。そしてその技術的な進歩が今後必ず起こるのがAI分野だ。本書はそ…

角川インターネット講座 (10) 第三の産業革命経済と労働の変化 編集:山形浩生

来週作家である藤井太洋さんと山形浩生さんの対談(藤井太洋×山形浩生 「仮想通貨の産む闇と光」 『アンダーグラウンド・マーケット』刊行記念 | B&B)がある。それに行く前になんか読んでおこうかなと本書『角川インターネット講座 (10) 第三の産業革命経済…

一本の槍──『声優魂 (星海社新書) 』by 大塚明夫

自分のやりたいことが明確に規定できている人間は圧倒的に強い。それはいってみれば覚悟がキマっているということだから。この道で生きていく、あるいは自分はこれをやる為に生まれてきたのだという強烈な「思い込み」。もちろんかみさまーが上から現れて「…

天才を生んだ孤独な少年期 ―― ダ・ヴィンチからジョブズまで by 熊谷高幸

恐らく今までで僕が受けたことのある質問の中で一番多いのが「どうしたらそんなに本を読めるんですか」だが、これにはいつもシンプルな回答しか返すことができない。本を読む以外のことを一切やめてしまえばいい。テレビを見るのもやめて人と会うのも辞めて…

時を駆ける/書ける/欠ける/賭ける少女『リライト』『リビジョン』『リアクト』『リライブ』 by 法条遥

SF

入り組んだ物語だ。きっと『リライブ』まで読み終えて何もかもがすっきりとわかった! と喝采をあげる人間はそうはいないだろう。僕も一度読んだ後再読をして、時系列の並びと因果のもつれを紙を使って大きく図解してそれを参照しながら読み進めることでよう…

槐(エンジュ) by 月村了衛

「その展開で面白くならないはずがないだろ」というようなシチュエーションが物語には存在していて、月村了衛さんはそのシチュエーション構築能力がとても高い作家だと勝手に思っている。本作は読んでいて今がどのような状況なのか、これからこの著者が何を…

アンダーグラウンド・マーケット by 藤井太洋

SF

オービタル・クラウド by 藤井太洋 - 基本読書 は本当に凄い作品だった。複雑かつ世界を巻き込んだ壮大なプロット、それがほとんど苦をさせずにするりと入り込んでくる練り込み。最新の知見をテクノロジーと社会両面で取り込みながら宇宙開発時代の希望と恐…

本で床は抜けるのか by 西牟田靖

僕は本屋でバイトしていたこともあるのでよくわかるのだが何しろ本は重い。毎日毎日凄い量の本が運び込まれてきて毎日毎日凄い量を返品してなんでこんな無駄な大量輸送を日々往復させてんだろうなあと思いながら毎日返品作業をこなしていたが、とにかく重た…

ファンタジーと言葉 (岩波現代文庫) by アーシュラ・K.ル=グウィン

ル・グインが創作についてや図書館のこと、自己紹介から今まで読んできた本などいろいろと語っているエッセイの文庫化。元は2006年に出た単行本だから、ファンは既に読んでいるものと思うが僕は今回文庫化にあたってはじめて読んだ。ル・グインは代表作ゲド…

暴力の解剖学: 神経犯罪学への招待 by エイドリアンレイン

※犯罪者を特定する因子は存在するのか? 『暴力の解剖学 神経犯罪学への招待』 - HONZ に書いたものの転載verです。ただ転載するのもあれなので最後の方にHONZの読者層を考えて省いた部分を補填しています。日本のようにかなり平和な国であっても人は人を殺…

ラブスター博士の最後の発見 (創元SF文庫) by アンドリ・S・マグナソン

SF

いやあなシステムが世界を支配しているこことは別の世界、あるいは未来を描いた一種のディストピアSFと分類できるのだろう。だが本書に通底しているのはディストピア系のSFに共通しているように思える陰鬱な空気というよりかはどこかコミカルで優しげでふっ…

不安定な世界──『氷 (ちくま文庫)』 by アンナ・カヴァン

SF

氷と聞いて通常想起するであろう純白とは違い、本作の表紙は真っ黒に塗りつぶされている。しかし読み始めればすぐにわかることだろう、この黒さがこの作品のイメージを的確に伝えていることに。本作『氷』はイギリスの小説家であるアンナ・カヴァンによって…

語り変えてゆく物語──『〈骨牌使い〉の鏡』 by 五代ゆう

本作『〈骨牌使い〉の鏡』は、ファンタジー作家五代ゆうによって書かれた長編小説の復刊というか、再文庫化にあたる。2000年にハードカバーが出版されてその後全三巻で文庫化されたが、それも2006年の事。初めて世に出てからおよそ15年、一度文庫…

SF BOOK SCOPE『暴虐の世紀を生きた男たち——ラヴィ・ティドハー『完璧な夏の日』』3/7に掲載しました

告知記事です。今回はラヴィ・ティドハーの『完璧な夏の日』について。暴虐の世紀を生きた男たち――ラヴィ・ティドハー『完璧な夏の日』|SF BOOK SCOPE|冬木糸一|cakes(ケイクス) 以下余談。

病院は劇場だ――生と死を見つめた研修医の7日間 by バティスト ボーリュ

フランス人で研修医であった著者が、自分の病院での出来事をぼかしながらブログに書いていたものの書籍化。ワインでも飲みながら軽いエッセイでも読もうかなと思って買ってきたのだけれども、ぱらぱらとめくりながら病院で日々行われる人の生の営みについて…

有頂天家族 二代目の帰朝 by 森見登美彦

『面白く生きるほかに何もすべきことはない』一行、読み始めたところからああ、この世界に帰ってきたんだと感じる。愛すべき、それぞれ違って阿呆な狸達。前作有頂天家族 (幻冬舎文庫) by 森見登美彦 - 基本読書 から森見登美彦さんも経験を積み重ね、複数の…

PSYCHO-PASS GENESIS 1 by 吉上亮

SF

かつて冲方丁さんとの対談の中でかわぐちかいじさんは細かいアイディアは、最初のアイディアの中に、既に内蔵されているものなんです。と語っていた。それを読んだとき、ふうむ、なるほどなあと思ったものだった。その時即座に理解できたわけではないが、確…

クジラの子らは砂上に歌う by 梅田阿比

砂がすべてを覆い尽くす世界、そこにぽつんと浮かび漂流を続ける船”泥クジラ”。その泥クジラには500名ほどの共同体で、サイミアと呼ばれる一種のサイコキネシス能力を持った短命の人々と、サイミアこそ持たないものの寿命が長く組織の運営にあたる人々が…

タイトルのまんまだよこれ!──『怪物島-ヘル・アイランド-』 by ジェレミー・ロビンスン

昨日読んだこの本⇒ささやかな英雄の物語──『ストーナー』 by ジョン・ウィリアムズ - 基本読書 があまりにも自分への心的負荷の高い、揺さぶりをかけられる作品だったものでノンフィクションに行く気にもならず、かといってまた重い小説を読む気にもならない…

ささやかな英雄の物語──『ストーナー』 by ジョン・ウィリアムズ

生きるとはいろいろな側面を持つもので「最高に幸せな人生だ!」とか「不幸せなクソみたいな人生だ!」とか簡単には総括できるものではないんじゃないかとよく思う。もちろん、そう言えるにも様々な幸運にみまわれなければいけないことはさておいて……。自分…

帰還兵・独創短編・SFマガジン

雑談 2015年2月のまとめ記事になります。読んだ・観たものを記事にしたものもしていないものも含めて総まとめにしようのコーナー。2月終わるの早すぎるよ!? と驚愕しているところであるけれども、まあ28日しかないから、それも仕方ありません。アニメも…