前巻あまりの読み飛ばしっぷりに愕然としたので、今回は一字一句漏らさぬよう真剣に読んでみた。おお、理解できるじゃないか。やっぱり今までわからんわからんと思っていたのは、単に読み飛ばしていたせいらしい。じっくり読んだ事によって、気づいた事もある。何度か同じ説明をしている箇所があることだ。これがはたして、書いた本人が忘れてしまってまた書いているのか、はたまた重要だから同じ説明を繰り返しているのか・・・。それから一巻にて、外国の戦艦や戦闘機は名前がついてないから、まったく意味わからんとかいう事を書いたがどうやら間違いであった。ちゃんと一つ一つ、名前がついているではないか。ただ名前が多すぎて正直覚えきれない。人名も次から次へと新しいやつが出てくるし、さらに艦の名前も大量に出てくる。あれ・・? この艦ってドイツ軍だっけ?イギリス軍?それとも合衆国? とはてなが大量に出てくる。
完全に沈黙したと思われた合衆国軍だったが、どうやらまだ反撃の力は残っているようである。ってそりゃそうか、そう簡単に、完全沈黙するはずがない。マッカーサーもまだ生きておるし。合衆国陸軍の組織編組だけは図がのっていたがなんともしょっぱいものであった。統合参謀本部に陸軍参謀本部が機能停止し、合衆国大統領とアイゼンハウアーおよびマッカーサー大将が直結している。
日英同盟と米のこれからについて、自分から譲歩せざるを得ない合衆国大統領を読んで日本すげぇと思う反面、合衆国がここまで落ちぶれてしまった事が悲しくもある。反撃をする力があるとはいえ、前の状態に戻るには時間をかけなければならない。というか、統合参謀本部に陸軍参謀本部が無くてまだ闘っているという状況がむしろ凄くないか? 自分には統合参謀本部と陸軍参謀本部の二つにどんな違いがあるのかすらわからないが、三国志とかにたとえるならば孔明と劉備が両方死んだのに等しいのではないか? まぁそんな状態になっても張飛と関羽がいれば勝手に弔い合戦を始めるだろうから、そういうものか。
イギリスの扱いが小さい。日本vs独逸の戦いがやりたいからだろうか。というかさすがにイギリスのことまで詳しく書きつけるとわけわからんくなるのかもしれぬ。日英同盟といいながらも、書かれているのはほとんど日本と独逸だけであり、そのオマケ程度に合衆国とイギリスのことも書かれている感じである。それでもその存在感が微塵も揺らがないのは佐藤大輔の凄いところか。何かやってくれる── という気にさせてくれる。
反撃の旭日旗、というサブタイからして日本軍が怒涛の反撃をするのだろうと読み進めていたが、日本がドイツ軍に与えた目立つ損害といえばフリードリフを撃破した事ぐらいか? 本当の戦争というものはどちらが勝った、負けたなどと簡単に分けられるものではないというセリフが何かの作品であったが、まさにその通りというところか。反撃は反撃だが、その分日本側だって損害を受けているのである。
おもに話はフリードリヒを中心に進められていた。よってここでもフリードリヒ関連の出来事を拾っていこう。
のちにフリードリヒと合流する予定になる、アーリア支隊へ、味方を逃がすために自己犠牲の精神を発揮しまくりで突撃していく日本艦隊。
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くく<クロシオ>並ビニ日本帝国海軍駆逐艦三隻ハ、コレヨリ接近シツツアル敵艦隊ノ迎撃ニ向カワントス。<エクスモア>艦長ハ、残余艦艇及ビ船舶ヲ指揮シ、コロンボニ向カウベシ
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<○√ <○√ <迎撃任務ハ本艦ニ命ゼラレタシ。本艦現状ハ敵ト交戦シタル後ノ如シ
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くく くく申シ出ニ感激ヲ覚ユルト同時ニ、イツノ日カ必ズグランド・フリートノ復活セル日ガ到来スベキ事を確信ス。サリナガラ、命令ハ既ニ発セラレタリ。コレマデ我等ニ与エラレタル貴官ラノ助力ヲ謝ス。サラバ
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( )ゝ ( )ゝ( )ゝ( )ゝ 馬鹿野郎どもが
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三三 三三 三三 三三──AA内のセリフは全て本書から引用
日本人はほんとにこういった自己犠牲の精神が好きだな。いや、外国もそうなのかもしれないけれど、知らんし。
次にこの巻における、フリードリヒvs日本海軍の初戦。フリードリフvs比叡&穂高は日本側が比叡を失うという情けない結果で終わる。上級将校が軒並み死んでしまい、予備でありながら果敢に指揮を取ろうとする清水が、滅茶苦茶かっこよくて新たな藤田の登場か!? と思いきや、直後に比叡が沈み何とも言えない気分にさせられた。しかもそこで死んだかと思っていた清水だが、あとの方でひょっこりでてくるからまた何とも言えない、しかもまた記録係に舞い戻っている。清水一体どうなっていくのか、個人的には目下最注目である。
次に、日本の航空機によるミサイル攻撃が行われる。十八機も失っておきながら、結局フリードリヒを完全に沈黙させられなかったというのはひょっとして作戦失敗なんじゃないかな?と思ったが、微妙なところらしい。こういう微妙なところ、というのが非常に多いので戦争というやつは決着がよくわからないのだろう。最終的にフリードリヒを破壊出来るかどうかわからなかったから、故の微妙さかもしれない。
このときの損害を足がかりに、結果的に破壊できたことを考えるに、概ね作戦成功といっていいのではないか。だがよく考えたらその時の作戦とは船団を逃がすというものであって、フリードリヒを倒すというのは含まれていないはずだからあえて言うならば作戦成功ではなく結果オーライだろうか。
さて、ついにフリードリヒ沈没の場面である。フリードリヒ一艦に対して日本海軍、<尾張><紀伊><穂高>というまるでドラクエ2のような布陣で襲いかかる。しかもフリードリヒはかなりの手負いである。最後の最後まで主砲を発射し続けていたフリードリヒがかっこいいぜ。
なお、生存者の中で最も高い階級の士官は少佐だった。
どれだけの激戦だったのかがわかる一文である。というよりも、位の高いものは仮に生き残っていたとしても運命を船と共にしたということか。下手に階級があがると、船と一緒に死ななきゃいけなくてつらいねぇ、いや実際はどうだかしらないけどね、みんな本当に死んだのかもしれないし。かくしてフリードリヒを葬り去り、反撃の旭日旗があがったというわけだ。無駄に長くなってしまった。