
- 作者: 清涼院流水
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/12
- メディア: 新書
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カバーが手紙風になっていて、非常に気に入ったのだけれども気に入らない人もいるようである。いや、そもそもこの本の評価の低いこと低い事。読んでて悲しくなってくるぐらい評価が低い。確かに冷静な目で見たらとんでもなくどうしようもない本だったような気がするのだが、暗闇の中でストップウォッチを片手に読んでいた自分には本の内容とかもはやどうでもよくて、ただひたすら自分なんでこんなことやってんのやろーかという深い絶望があっただけであった。いやでも作品結構面白かったと思うんだけどなあ。何よりこの短さがいい。人生の必勝法も教えてもらったし。御大のメフィスト賞への愛と感謝も伝わってきたし、オチはタイトル見ただけで読めたけど、この本にはどこにもかしこにも清涼院流水らしさってもので溢れかえっている。表紙を見てあほだなーと思い、秘密室ボンというタイトルであほだなーと笑い、わけのわからない読み方を提示されてあほだなーでもしょうがないなーと転げまわって心底どうでもいいオチにいつもどおりだと安心する。この本も、読書メーターで見てもAmazonを見ても、読んでいる人が極端に少ない。やっぱり世間では清涼院流水はいつまでたっても売れない作家なのだな。大河ノベル企画が持ち上がった時も、西尾維新ばっかりに注目して清涼院流水? なにその小物、西尾維新は売れまくってるのに流水のパーフェクトワールドは在庫残りまくりわろたと馬鹿にしていた自分が恥ずかしいぜ・・・。
さて、こっから当然のようにネタバレしていくわけである。秘密室ボンというタイトルなので、どう考えても非密室なんだろうなーと半ばお約束のように読み始めたら、やはり非密室というオチであった。密室に閉じ込められた主人公が密室の神様が出してくる問題を解きながら脱出を目指すというのだが、うーんなんでだろう。緊張感が伝わってこない。こいつがこれに答えられなかったら死んでしまうんだ! というビリビリしたような緊張感が。キャラの描写も一切なく、突然閉じ込められた状況から始まったせいかもしれないし、密室の神様やらなぞなぞでヒントやらの小道具が現実感を感じさせないからかもしれない。それから最初の方は一人称と三人称が入り乱れる変則的な文で、ちょっと面白いなあと思っていただけに途中からほとんど全部一人称になってしまってその点もちょっと残念といえば残念か。