
- 作者: 御影瑛路,415
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/01/10
- メディア: 文庫
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だが外向きのエンターテイメント作品を書くことに成功しているといえるだろうか。正直この作品を読む前は僕らの〜のような作風で新しいものを見せてくれるのを期待していた。読み終わったあとは、多少疑問が残るもののこの方向性の御影瑛路をもっと読んでみたいと思わせるに足る充分なできであった。疑問っていうのも、まだ書きなれていないというか順応できていないというかそういう方面での疑問なのでこれから先も書き続けるのなら消えていくものである。新刊が出るたびに買う作家がこうしてまた新たに生まれたのだ。今は何よりも、御影瑛路がまだ書き続けてくれていたことがうれしい。
物語の根っこの部分は以前と変わらず御影瑛路だなぁと実感させてくれるような濃いものなのだが、その他の部分が借りてきた猫みたいに違和感を感じる。たとえば主人公の友人の陽明が土御門を彷彿とさせたり(とある魔術〜は途中で読むのやめてしまったから記憶があやふやだが)箱が聖杯を思わせてマリアが士郎を思わせて一輝が幹也を思わせたり。友人関係がテンプレート的なのはラノベの常としていいとしても、ナルトの作者が突然わかりやすいツンデレを用意したりしたときのような白々しさを感じた。要するにひとつひとつのガジェットをまだ消化しきれていないような感じがするんだよなあ。茂木さんのヤンデレ化とか。
どんでん返しが繰り返されるので、コズミック程とまではいわないけれども最終的には誰が犯人だろうがもうどうでもよくなっていた。ただやっぱりラストの大団円は御影瑛路が戻ってきたなぁという実感も含めて非常によかった。泣ける。というかこれは続編が出るのだろうか。出せそうだが、売り上げ次第ってことかなぁ。何はともあれ待つのがよろしい。