- 作者: 有栖川有栖
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2000/08
- メディア: 文庫
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火村先生の殺人衝動ネタはそそるものがあるなあ。何でだろう。これもブリーチとかナルトに関わってくる話だけど、どちらも抑えきれない力に飲まれるか、制御して強くなるかという順当な展開をおっている。大抵こういうのは他人には無いものという扱われ方で、それを使いこなす、もしくはやみくもに開放することによって人より強い力を得ることができる。火村先生の事件を追う原動力となっているのが殺人衝動のようなものだとすれば、この図式に当てはまるであろう。他にも殺人衝動ネタといえば星の数ほどある気がするけれど、代表的な所でいえば月姫とかか。ブリーチの虚化、九尾化と殺人衝動を名前変えただけのネタは数限りない。この辺分析してみたいところだが、まあそれも今後か。とてもまとめられそうにない。しかし何でこれが面白いのかなあ? ひとは誰にでも殺人衝動やらおさえられない衝動が自覚出来ていないだけで持っているので、半ば無意識的にそういったものを押さえて懸命に使いこなそうとしている主人公を見ると共感してしまうのだろうか。もっともらしいけれど。
いかんいかん、キャラクターについて語ってるのはおかしいぞ。一応本の内容にも触れておかないと。今回の犯人が最高にイカス。いっけんヘタレキャラが実は犯人でしたーっていう展開が大好きなんだよな。展開というよりも、ヘタレだっていうのは実は演技だったんだぜぐへへふはははと突如豹変するキャラクターが好きなんだよなあ。たぶん叙述トリックのように今まで見えていた風景が一変するからだと分析できる。つまりこいつの本性はこの豹変した後であって、今までのヘタレは全部演技だったのだから叙述トリックと通じるものがある。しかも殺した動機は夕暮れのお告げときたもんだ。異邦人ってるぜ。ちなみにこれ、いほうじんってるぜ、もしくはカミュってるぜ、と読む。意味は理解不能だぜ! である。最後に必死にあれこれ言い訳する姿も素敵だ。って結局キャラ談義に。まあいいんだけど。