WATCHMEN ウォッチメン(ケース付) (ShoPro Books)
- 作者: アラン・ムーア,デイブ・ギボンズ,石川裕人,秋友克也,沖恭一郎,海法紀光
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2009/02/28
- メディア: 単行本
- 購入: 81人 クリック: 998回
- この商品を含むブログ (254件) を見る
ヒーローが次々と襲われてバトルスペクタルの連続! というようなものを期待していくと痛い目を見るかもしれない。どちらかといえば一人一人の内面に抱えた悩み? テーマをコメディアンという冒頭で殺されてしまうスーパーヒーローの回想と共に掘り下げていくような感じ。それから犯人を追い詰めていくようなミステリィ的な要素もまた存在している。ただやはり映画なので幾つも出てくるテーマとでもいうようなものは掘り下げられているとはいえない。そもそも主題がなんなのか、というのがよくみえてこなかった。見張りを見張るのは誰か? というのがやはり大きな主題なのだろうか。原作どころかあらすじすら未読の人間として一番戸惑った点といえば、最初に殺されるコメディアンが重要な人物だと全く気がつかなかったことである。正直ヒーローが次々と殺されていくと思っていたので、何で最初に殺された人の回想でこんなに時間使っちゃうの? 四天王でいえば勇者たちが四天王の一人を倒してもまわりの人間はククク・・・! あいつは四天王の中でも一番の下っ端・・・! みたいな雑魚キャラかと思ったら実に重要なキャラクターだった。そのあたりの勘ちがいがつもりつもってストーリーがうまく終えていなかった。ニコチャンマークのバッジも、ヒーロー全員が所持しているライセンス的な何かかとおもた(世紀末リーダー伝のリーダーバッジみたいな)らコメディアンだけしかもっていないし。原作を読んだらまた評価が変わりそうな映画だ。
うん、とにかくいろんな設定が出てくるんだが(ジャイアントロボの梅サワーのようなものまで出てくる)それらをすべて消化しきれているとはとても言い難い。この辺の設定はやはり最低限Wikipediaなどで調べておかないとさっぱりわからないだろう。割と重要なことがらなのに全く説明されていない点が多すぎて正直不親切である。その一方でやはりスリーハンドレッドの監督だけあって映像は圧巻で、どの場面の戦闘も素晴らしい出来栄えとなっている。どうでもいいことだが、ヒーローが何人も実在する世界と聞いてすぐに思い出すのは清涼院流水である。通常ヒーローというのは世界に一人しかいない。バットマンの世界にスパイダーマンはいないし、アイアンマンもいない。その逆もまたしかりである。探偵小説もそうだ。清涼院流水がやったことを、すでに1986年に行っていたというのは凄く興味深いことである。実際映画の中でも俺は漫画のキャラクターとは違う、というある種メタ的な発言をキャラクターがおこなっており面白い。もちろんそれが主な話ではないのだが…。
原作読んでいたら最後の方が割と重要な改変がされていた。まあ特に違和感もなし。
以下ネタバレ有。
ジョンという全身真っ青で発光していて、超能力者が出てくる。しかし何故かこいつが全編を通して全裸で(一度だけテレビにうつってたときは服をきていたが)基本ぱんつを履いているけれどたまにちんちんがブラブラしていて凄くキモかった。むきむきだし。お前は海パン刑事か! もしくはいぬまるくんか! と突っ込み続けていた。これを見てひょっとしてこれの楽しみ方は変態どもが繰り広げる狂乱をげらげら笑い転げながら見るべきであって、ストーリーを真面目におっているようじゃダメなのじゃないかと真剣に考えてしまったぐらいである。とにかくこいつが出てくる場面は全部ギャグとしか思えない。でっかいジョンがおびえて逃げるベトコンを超能力でばらばらにしていくのとか、何か勘違いしちゃったどっかの国のFPSゲームを思い出したし。
それからローリーというヒロインが出てくる。こやつのセックスシーンは異常にエロいのだが、それにしても物凄い貧乳なのだ。Aか? それともBか? というレベルなのに普通に服を着てると結構胸がある…。お前パッド入れてるやないかい…。ミス・ジュピターみたいなヒーローらしいのだがピチピチのスーツを着ている時も凄い胸があるように見える。そこまでして見栄を張りたいんかい・・・・。とにかく貧乳だ! 貧乳だ! とかパッドだ! パッドだ! とずっと貧乳のことしか考えていなかったので他のことが頭にのぼらなかった。乳の魔力は凄いぜ。最後何かジョンが君が生まれたのは奇跡だ! とかなんとかいったけど、なんかキモかった。ジョンが。ああ、あとこいつのセックスシーンで何かやたらとハレルヤ! を連呼する歌が流れていて凄くシュールだった。
ローリーと最後いい感じになった男がいるが、予告編を見てバッドマンだ! バッドマンだ! とおもっていたらフクロウのヒーローだった。なんだそれ。俺の興奮を返せよ! 原作を見るとバッドマン的な部分なんてほとんどなくて、もう完全にフクロウの格好をしている。正直ギャグとしか思えない格好なのだが、映画化にあたってバッドマン風に衣裳が変わってしまったのはやはり意図的なものだったのか。納得。
中身はなかなかのヘタレだった。最後までヘタレていて少し可哀想になってしまった。彼はもう少し色々頑張るべきだったよ。だいたい誰が主人公なのかさっぱりわからなかったし。たぶんロールシャッハが主人公なんだろうけどあの人マジで気が狂っていて主人公とかなんとかを超越しちゃってる。事態を率先して先導するのが狂人のロールシャッハのせいでいったい全体的に何が起こっていて、物語がどこに向かっているのかさっぱりわからんのだよな。