基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

記事の需要と供給について考えてみた。──感想サイトの意味はなんだ?

はじめに

 今まで記事の需要と供給なんて言われても、まったくわからないというか、そんな大層なブログでもないので気にかけるのもあほらしいぐらいの気持ちだった。しかし一昨日からアクセス解析を導入してから(無料で一か月だけ導入できる)色んな人がこのブログにどうやってたどり着いているのかちょっとわかった。これが結構面白いので少しだけ考えてみたい。

そもそもこのブログが目指したもの

 神林長平の「膚の下」を読み終わって、半ば突発的に始めたこのブログだったが、開始して数日後に漠然とした目標は立てていた。そもそも本の感想サイトをやろう! と思いたったのが、「膚の下」を読んで、その感想をしらみつぶしにした時に、情熱を持って、長文で、魂をぶつけんがごとく、感想を書いているサイトがまるで見当たらなかったからだ。こんなにたくさんネット界隈には書評サイトがあるのに、どこからも魂を感じない!(抽象的だなあ) それは自分にとってかなりのショックであった。

 よくよく考えてみればそれは当然で、ブログを書いている方からしてみればその一冊は日常的に読み進める何十分の一のモノでしかない。一冊一冊に魂を込めてレビューをかけるわけもなく、必然的に全体的な文字数も1000文字ぐらいで、あらすじを説明して、こんなはなしでとっても面白かったーなんていう魂のこもらない書評ともいえないような書評が溢れかえる。そう、最初自分が猛烈に驚いたことといえば1000文字という点で、短い! 全然短いよ! 本当に一冊読んだなら、そんなものじゃないはずなんだよ! もっとこうガンガン書いて、書いても書いても書き終わらなくて、読む方がヒクぐらいガンガン書くぐらいになるはずなんだよ! そっちからしたら何百冊のうちの一冊かもしれないけどこっちからしたら魂の一冊なんだぞ! と、そう思った。

 ほとんどのサイトは、基本的に未読の人を読者として設定している。。そのため内容についてガンガン語るようなところは少ない。自分が「膚の下」を読んで真っ先に感想サイトを探し求めた理由といえば「あの場面がよかった! あそこもあそこも良かった!」という語りあいであって、それこそいくらでも語っていたいぐらいなのに、あるところでは冷静に評価したりしていて、あるところではただ単に面白かったーとだけ書いてあって、なんか違う…というのが正直な感想。そもそも書評っていうのはネタバレしないように、いかに面白さを相手に伝えるのか? というのが巧さの指標みたいなものだ。しかし書評サイトは、それと同時に、すでに読んでいる人を楽しませることもしなくてはいけない。そんなこと、並大抵の力じゃできない。今では凄い書評サイトもわかってきて、ダメな書評サイトばかりだ! といった過去の自分にはバカだなぁー探し方が悪いだけなのに、という立場だ。凄い書評サイトは、未読の人も既読の人間も楽しませることができる。しかし自分にそんな力はないから、どっちかに力を入れて対象を絞らないといけないのは当然のことだった。

 その時、感想だけに力を入れているところはなさそうであった。そこで、無いなら自分で書け! とばかりに書き始めた。ガンガンガンガン一人で語り続けて、どこよりも無駄に長く、最初から最後までここがよかった! と語り続ける! ガンッガンネタバレしていって、未読の人間なんかハナっから相手にしない! 当然いつも見てくれる読者なんてつくはずもないから、必然的に一見様がガンガン読んで気分よく帰れるようなものにしようと思った! 冷静に本を評価するんじゃなくて、うぉぉぉ! ここが面白かったぜぇぇぇ! と絶叫しながら感想を書くノリで。

 ということで最初に立てたこのブログの目標は以下の通り
 1.どこよりも長い感想を書く
 2.未読の人よりも、読んだ人の魂に響くような
 3.たくさん読んでもどれ一冊としてないがしろにしない。

 あれ、需要と供給の話はどこにいった? まあいいや。一年ぐらいは上の思想でやっていた。やっていたのだがしかし、長さにこだわるあまり質が低下してしまった。関係ない上に面白くないことをぐだぐだと語り続けた揚げ句突然終了したり、錯乱したとしか思えない文章を載せたり。途中までは最低限の礼儀としてネタバレ無とネタバレ有で区別していたが面倒くさくなってやめたり。魂を込めて、一球入魂とばかりに感想を書くために長文でやる気を示そうと思ったのだが完全にあだとなった。さすがに自分もこれはちょっと人目にさらしていい文章ではないな…と思えてきたので、最近は(ここ一週間ぐらい)頑張って質の向上に努めている。

 反省したのはそこだけで、ネタバレ全開で書くというのは今でも正しいと思っている。書評っていうのは自分の場合、読みたい本ではまず読まない。むしろもう読んで、他の人はどう思ったんだろう? と感じて検索することが圧倒的多数である。でも書評を読んで読みたいと思う人もたくさんいるだろうから、この辺は微妙か。というよりも、ようやく需要と供給っぽくなってきたぞ。もうすでに読んでいる人を対象としているので、北方謙三水滸伝を一巻一巻しつこくストーカーのように感想を書きつづけたり、三国志を一巻一巻以下略、笑傲江湖を以下略、それから今も鹿鼎記全八巻の感想を無駄に書いている。全部読んでから一括で感想を書け! といわれそうで、明らかに需要がないんだけど、当初の目的には沿っている。

このブログにどんな人が来るのか

 今は、真夏のオリオン あらすじ を検索してくる人が最も多い。これはまだ始まっていないので、いったいどんな話なんだろう? という興味で検索してくるのだろう。だがここではネタバレ全開で語っている上に、別にネタバレしますよ、などという前置きもしてないので観に来た人たちは多分怒るんじゃないかと思う。公開前の映画は、ネタバレ全開で語らない方がよさそうだ。発売直後の本などはそういう考慮もしているのだが映画は忘れていた。

 次に劇場版 天元突破グレンラガン 感想で来る人が多い。また映画である。まあ世の中的には、本を読む人より映画を見る人の方が圧倒的に多いのだからこの結果は当然といえる。上記でググると基本読書が一番上に来るので、人がよく来るのはそのせいだろう。

 次に神林長平のワードで来る人が多い。これも一回特集エントリーを書いたからだと思うが、何故か自分が神林長平で検索すると一番上に出てくる。で、次が清涼院流水。これも特集エントリーを書いたからなのはいうまでもない。Wikipediaアンサイクロペディアに続いて三番目に出てくる。そしてコズミック・ゼロが続く。恐らくこれは発売されたばかりで、さらに感想を書いているブログが少ないからだろう。需要を考えると

1.公開中の映画の感想
2.作者の特集エントリー
3.発売されたばかりで、まだ誰も感想を書いていない本の感想

 供給とかあんまり関係ないね! 1はまあみたい映画見に行ったら書く。3はお金ないから無理 2は意外だ。そういえば、あんまり作者語りみたいなのは多くないかもしれない。たとえば森博嗣の小説は平均すると一冊十万部ほど売れるそうなので、とりあえず十万人は読者がいることになる。作品の感想を見に行くかどうかは別として、そのうち三分の一、つまり三万人ぐらいの人が、ネットで森博嗣、と検索したとする。その時にこのサイトが森博嗣の特集記事を書いていて、検索で上の方に出てくれば、三万人のうちの一万人ぐらいはクリックするだろうと。そういう見方ができるのではないか。作品単品よりも、作家単位で何かやった方が需要は高いと言える。競争も起こっていない。

 しかしよくわかるのは、小説の感想を書くよりも漫画とか映画とかの感想を書いた方が人が来るってこと。まあそりゃ読んでいる人間の分母が違うから当然なのだけれども。エヴァンゲリオンの劇場版なんか動員数100万人超えてるもんなあ。アクセス数が欲しいなら新刊を買いあさって、公開されたばかりの映画とか発売されたばかりの漫画の感想とかもばんばん書くのがよろしい。それからなんといっても、感想という枠から離れて、大多数の人に向けたことをやるのがいいんだろう。小説の感想なんて言うのは要するに、需要が極端に少ない。森博嗣だからこそ10万部売れるけど、他の名もなき作家(そんな作家はいない)たちはもっと読んでいる人間が少ない。

 まあ、小説感想の需要がほとんどないといっても、書くんだけれど。。それにアクセスがあればそりゃ嬉しいけどその為に新刊を買ったりその他やりたくもない努力をする気にはなれない。でもアクセス解析があるうちにちょっと実験しておきたいなーとも思い始めた。何か別のこともやってみるかなあ。