基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

ニッポンの書評

いやあ興味深く、楽しく読みました。おもしろかった。ブログで書評をやっているような人は今の世の中星の数程とは言わなくても、飲み屋で普通に飲んで食べてした時の一人分のお会計ぐらいの人数がいるんじゃないでしょうか?(超アクロバティックな数字の例え方です)そう、そういう人たちが読んだらきっと面白いだろうなと思いました。

タイトル読んで、最初の方をぺらぺらと読んで、買って帰ったんですがよくよく見たら著者が豊崎由美さんなんですね。書評家としてはかなり知られた方で、各所に書評を発表している方なんですが、僕はちょっと苦手です(笑)。TwitterでFollowしていたのですが、かなり気性が荒いように見える方で、温厚な羊みたいな僕には、少し毒が強すぎる。

と、そのように勝手に苦手意識を持っていたので著者が豊崎さんだと知った時に「やべ!」とは思わないまでも「むむむ」ぐらいは思ったのですが、中身は大変良かったです。ああ、結構いい人なんだなあ(笑)と思ったりして。誠実である、という点が一番良かったです。そして正直ですね。ここで軽く目次を挟みます。

第1講 大八車を押すことが書評家の役目
第2講 粗筋紹介も立派な書評
第3講 書評の「読み物」としての面白さ
第4講 書評の文字数
第5講 日本と海外、書評の違い
第6講 「ネタばらし」はどこまで許されるのか
第7講 「ネタばらし」問題 日本篇
第8講 書評の読み比べ − その人にしか書けない書評とは
第9講 「援用」は両刃の剣 − 『聖家族』評読み比べ
第10講 プロの書評と感想文の違い
第11講 Amazonのカスタマーレビュー
第12講 新聞書評を採点してみる
第13講 『1Q84』一・二巻の書評読み比べ
第14講 引き続き、『1Q84』の書評をめぐって
第15講 トヨザキ流書評の書き方
対談  ガラパゴス的ニッポンの書評 ー その来歴と行方 豊粼由美×大澤聡

かなり色々語ってくれています。個人的に面白かったのはネタばらしはどこまで許されるのか、とか『粗筋紹介も立派な書評』とか『プロの書評と感想文の違い』とか『新聞書評を採点してみる』とか『トヨザキ流書評の書き方』とかその辺ですね。面白いのは豊崎さんの正直な書評に対しての意見がずばずばと聞けるところです。これは本当に良い。ただ意見がほとんど180度といってもいいぐらい違う(笑)

まあ立場が違うから当然でしょうけれど。豊崎さんは何をおいてもまず書評を愛する人であり書評家(書評屋?)ですからね。僕は書評とは何の関係もない人間なんで、書評なんてつまんないからほとんど読みませんし、面白くしようもないオワコンだと思ってますから出発点からして逆を向いてます。

そうそう、ネタばらしはどこまで許されるかという話になってくるのです。これに対する厳しさが僕の場合ちょっとハードルを挙げているのかなと思います。まず、ミステリィかどうかを書いてしまった時点ですでにネタバレです(笑)。内容なんか一行だって書いてほしくない。知りたくないし、あらすじって眠いですからね。

しかし豊崎さんも書いていますけれども、粗筋紹介も上手い人が書けば素晴らしいものになります。ただ、それでもなお退屈だと僕には思います。粗筋紹介をそんだけ上手く書けるなら、別の物で書いてくれたらもっと面白いじゃん、とか思ってしまう。

僕はそんなこと言っておきながら書評サイトをみて本を買う事がよくあります。でも記事の中身ってほとんど読んでないですからね。お勧めしている人と、本のタイトルぐらいしか見ません。どうでもいい本なら書評も読むけど……。ちなみにこれはノンフィクションでもまったく同じです。知らされたくない。

理想とするのは信頼できる選び手と、本のタイトルがポン、とおかれているだけのイメージですね。そんなブログがあったらいいなあ!

あと意見が同じところもあります。ブログに本について、愛情もリスペクトも感じられないことを書く、内容が理解できないのは本が悪いと開き直る、論理性のかけらもない文章を書く。そんなブロガーの文章がネット上には多々あって、そいつらは匿名で守られていて、世間に名前を出して活動している人に向かって誹謗中傷を行う。それは卑怯ですよ。

とそういうんですが、まったく同意見! ひとさまの本をダシにして文章を書いている、粗筋を紹介する、といった微妙にグレーなことやっているんだから、正直言って作者へのリスペクトは最大限発揮されるべきだと思います。本来怒られるだけじゃすまないはずなんですよね。たとえ批判であっても、その根底にはリスペクトの精神があるべきだと僕は思います。

もっといえば、相手に面と向かって言えないようなことはブログにでも書くべきではないと思って僕はここに文章を書いている訳です(だから妙な感じになるのだが)。そんなこと書いておきながら僕は批判するような文章ってあんまり見たこと無いですね。全く回って無いからかな(笑)

やっぱ愛だよね、愛(??)

ニッポンの書評 (光文社新書)

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