基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

第三世界の長井が狂っている件について

ゲッサン 2009年 07月号 [雑誌]

ゲッサン 2009年 07月号 [雑誌]

あらすじ?

 人は何故、人たり得ているのか。
 人間社会とは何なのか。
 神は存在するのか。
 真実など、この世にあるのか――――
 ながいけんが紡ぐ新世界。
 現実と虚構が複雑に交錯する「万物の真理」の世界を
 あなたも旅してみませんか?

 第三世界の長井とは、神聖モテモテ王国で一世を風靡した漫画家であるながいけんゲッサンでの新連載、数年ぶりの復活ということで、心待ちにしていたファンも多いはずだ。うん、しかしまあこれ、説明しようと思ったのだが全く説明できないわけであって…。第一話『描き上がったところまで』でわかったことといえば、男と女がいて、それから長井というわけのわからない絵の男がいるというだけ。バクマンを読んでいると、彼らは一話一話、読者がどう反応するかを考えて、ストーリーを作っているのに、この第三世界の長井、第一話では、具体的なことは何一つわからないままに終わってしまった。

 そんなわけで、第一話で謎の長井君が登場してから、わけがわからないまま一月を過ごしたわけですが、先日ようやく第二話『第一話の続き』が読めたんでこの狂気を少し頑張って文章にしてみようとせんとす。第二回は、第一回の2.3倍のページ数ということで23ページです。第一話では10ページしかなかったんですね。

 さて、第二話ですが、長井くんはどうやらアメリカ人のようです。何故それがわかるかというと、彼が出てきた三コマめに、テロップが出るようにしてアメリカ人、とだけ表記されているからであって、正直意味はわかりません。彼の記念すべき第二話第一声は、『サ、殺意はナカッタ。』でした。アメリカ人だからカタコトだということはわかるけれど、殺意はナカッタ…? 突然出てきた変な男が殺意はナカッタ…なんていったって、どう反応していいかわかりません。その後大したことのないやりとりが数回繰り返されたのち、少年が彼に忙しいのか? と聞くと彼はこう答えます。

 秘密防衛組織ドングリーズの大好キナ博士の頭に生えたツノのテレパシーの世界緊急ひみつ指令がさっきからこの俺を導いていて…フン… モウ何もかも終わりかもシレン

 頑張って解読するとすれば、秘密防衛組織ドングリーズに所属する博士のツノからテレパシーが送られてきているので彼はその指令にそって動いているということでしょう。そしてなんだかよくわからんのですが、滅亡の危機にひんしていると。

 次に、突然、何の前触れもなくツノが生えた博士が出てきます。ツノが生えている以外は、ヒゲの似合うナイスミドルです。ただ彼もやっぱり絵が、少年と女の子とは浮いていて第三世界の存在であることを際立たせます。博士によると、恐るべき奴らが世界侵略を明日ぐらいから開始するそうです。イカ占いでわかったそうです。もうそろそろツッコミを入れたり考えたりするのはやめようと思います。この博士、割と気が狂っています。ギャグなのは当然わかっているんですが、ギャグが二十五周ぐらいして狂気に侵食されています。攻めてくる敵が宇宙人だったー! という説明の部分とか、狂気そのものです。

 あっところで恐るべき侵略者が何者なのか説明せねばなるまい、奴等は宇宙人なのだよ。

 宇宙人────? 無限の大宇宙すぎるのカヨーッ アーッ。
 人類にはモウ打つ手がナクおそろしいヨ── 帰ッテモラッテクレ。

 駄目だ。

 駄目なのカヨーッ。

 駄目なのカヨーッ。とか、無限の大宇宙すぎるのカヨーッとか、まともな頭で考えていたらとても出てくるセリフとは・・・思えない…! さらにこのあと、博士のセリフが吹き出しを飛び越して、さらには漫画の枠さえも飛び越えていくところがあります。かなりのメタ演出ですが、作中の人物にも何やらとんでもないことが起こったのはわかっているようで、セリフが吹き出しを飛び出した次のコマで少年がな・・・何? と驚いています。さて、まったく事態についていけない少年をよそに、博士の説明は続きます。どうやら駄目なのカヨーッ。の長井くんは、選ばれた伝説の何かで、最後の希望で、宇宙人と戦わないといけないらしいです。この俺この先どうなっちゃうというノカーッと長井くんは悲壮な顔になっていますが、すでに武器まで用意されています。

 わいの長井よ、さっそく帰って戦闘準備なのだよ。お前の専用武器として少し大きめの石を用意した。

 い…石で宇宙人に殴りかかれと言ウノカーッ。

 このコマのとち狂ったセリフと、シュールすぎる絵を見ただけでゲッサン最高! ながいけん最高! と思いましたが恐らくごく少数派でしょう。今のところ狂ったストーリー漫画か、もしくは人を選びまくるシュールすぎるギャグ漫画として微妙に成立しているけれどこの先どうなるのか…。凄く楽しみ。