- 作者: 宇都出雅巳
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2008/06/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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前置きが長くなりましたが本書は速読を学ぶ本としてもとても役に立ちますし、読書論の本として読んでも面白いかと。速読の本を読むのはこれで3冊目ぐらいですが、いきなりこんな良著に巡り合えるとは嬉しい限りです。
著者がどの程度速読が出来るのかは、ぺらぺらっと本をめくればすぐにわかるかと思います。まず重要な点として、目次が充実していること。これが充実していない本は速読本として致命的です。次に小見出しがたくさんついていること。多すぎる、ということはありません。多ければ多いほど読みやすいです。そして、重要なところのフォントを太字にすること。これがストレス無く出来ていて、読めるのならば著者は相当な速読上手でしょう。さらに言えば章の終りにまとめがあるといいかもしれません。本書はその全ての条件を満たしています。
目次
Chapter1 本をツール化する習慣を身につける
Chapter2 情報感度が10倍高まるスピード読書術
Chapter3 読みたい本がすぐに見つかる選書術
Chapter4 対話力を高めるコミュニケーション読書術
Chapter5 論理的思考力が身に付くロジカル読書術
Chapter6 発想が豊かに広がるアイデア読書術
Chapter7 どんどん自分を表現できるアウトプット読書術
──Amazonより
本を早く読むのに一番重要なのは目次が充実していることだといいました。これは自分も速読をやろうとして初めて意識したことで、目次に眼を通すか通さないかでは本を読む速度がだいぶ違ってきます。言ってみれば目次を読む事は、本全体の予習をすることです。あともう一つ滅茶苦茶、すうっごおおい大事なのが、本を全部読もうとすることをやめることです。僕が速読を始めるキッカケになったのは、本ってのは全部読まなくてもいいんだ、と気が付けたことにあります。それからはまるで目が覚めたように速読とは何なのかがよくわかってきました。速読の本ではよく視点移動がどうとか言われますが、正直いってあまり関係ないと思います。
本書でも視点について語られているのは恐らく3ページぐらいだったはずです。本書では幾つも速読において重要なルールが描かれていますが、視点はその中でも一番重要でない点でしょう。さて、すでに1.目次によく眼を通すこと。2.本は全部読まなければいけないというルールを捨てること は書きました。上二つについても詳しくは書きません、自分で想像してください。恐らくそれが一番役に立つ。3.はわからないところで読むのをやめない。です。わからなかったらといって考え込まないでください。その先で答えが見つかるかもしれません。まあ重要なのは上の三点ぐらいでしょう。
他に重要な点としては、本をいつでも手元に置いておくことです。たとえば僕は今まで一冊の本を読むのにだいたい一時間半から二時間ぐらいかかっていたので、一日一冊読むにはどうすればいいのか、と考えて時間配分を行っていました。毎日風呂で30分、電車の待ち時間が行きと帰りを合わせて10分程、電車の中にいるのが計20分、これだけですでに一時間あります。僕の場合『本を読みたくない時』が存在しないので明確に計算できますが、そうでない人が多数だと思います。そう言う人達は、いざ読みたいと思った時にすぐ本を手に取れる状況が肝心です。いつも座っている椅子があったらそこに一冊。ごはんを食べる場所があればそこに一冊。風呂にも一冊。トイレにも一冊。学校にも一冊。どこにいってもすぐに本が手に取れるようにしましょう。
もちろんこれだけではありません。書評サイトを利用するとか、本に書き込みをするとか、他の本でも語られていることですが本書はとにかく読みやすい。まずは本書で速読の練習をしてみてはどうでしょうか。ちなみに自分はこれぐらいの本ですと今は20分で読めます。以前だったら最速でも一時間はかかっていたでしょう。約三倍です。1.目次を読み 2.全部読もうと気負わずに 3.分からないところで止まらず(本書の場合は大丈夫でしょうが)ぶっちゃけ最初は、小見出しと太字になっている部分だけを読んでも『本を読んだ』と言ってしまってもいいと思います。それでは納得いかない人は、自分が納得いくレベルまで適当に読んでください。
そうすると、本書で書いてあることが実感として理解できるようになるでしょう。速読初心者にオススメの一冊でした。余談ですが、今まで僕は本なんかいらねー・・・重いし邪魔だし、早く全部電子書籍になっちゃえばいいのにー。とか言っている人だったのですが、速読はやっぱり本でないとできない。スクロールではパラパラーっとめくるあの速度と反応が得られません。本はやっぱりこの利便性がある以上なくならないでしょうねえ。