- 作者: 美嘉
- 出版社/メーカー: スターツ出版
- 発売日: 2006/10
- メディア: 単行本
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ユーモアは大切ですね。シリアスな物事のすぐ隣に滑稽な物事を並べるんです。──リチャード・パワーズ
私も、暗い話を書きつつも、ちょっと読者にウインクしてみせる。そうすることで、ユーモアを失わないように心がけています。私の作品からユーモアを取ったら、何も残りませんよ(笑)。(中略)その通り。普通ならそぐわない、違和感のある要素をまぜこぜにしてみるんです。すべてがひどい状態になる話しでも、おもしろおかしく書けば、その笑いが力を与えてくれる。──バリー・ユアグロー
この二つの言葉を読んだ時に、あっこれは「恋空」のことではないか!! と思いましたね。実は「恋空」読んだことないのですけれど、「ガッシ!ボカッ!」アタシは死んだ。スイーツ(笑)という言葉だけは知っていて…ていうかこれって恋空のセリフですよね? 違ったら悲しいですけど、まあ恋空だということにして話を進めます。状況がよくわからないですけど、恋空って結構悲惨な話じゃないですか。レイプされたり妊娠したり、色々くらーい現実の話がある。この物語の中だとそれが全部ごっちゃ煮になってはいっているからスイーツ(笑)みたいに言われているのだろうけど、一つ一つ分解してみてばそれはそれは悲惨な話なわけで。普通に、それこそリアリスティックに書いたら気分が落ち込んできますよ。そう、気分が落ち込んでくるので、そこにユーモアを差し込む。笑えねえ状況っていうのが世の中には凄くたくさんあって、しかしそこに笑いを差し込む。笑えない状況だからこそあえて笑う、みたいな。バリー・ユアグローも、リチャード・パワーズも同じことを言っているように思います。そして、恋空の話に戻るのですが、この笑っちゃうような文体は意図したものにせよ、意図しなかったものにせよ悲惨な現実を覆い隠す膜みたいになっているんじゃないかと。うん、だったら面白いなーと思っただけです。
「人間は計画を立て、神はそれを見て笑う」ということわざがありますよね。私は笑いの力を信じているんですよ。笑っている人間というのは、たとえ自分をだしにして笑っていても強いんです。笑えるかぎり、降伏ではない。笑いには世界を変える力があるんです。──バリー・ユアグロー