リアルのゆくえ──おたく オタクはどう生きるか (講談社現代新書)
- 作者: 東浩紀,大塚英志
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/08/19
- メディア: 新書
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お互いに譲れない自己主張があって、しかしその自己主張に論破できないほどの綿密な論理を組み立ててたどり着いているので、二人とももはやその点をつくことができないんですね。いや、ほんとは論理の穴をつけているのかもしれないけれど、お互いある一点からは絶対に引こうとしない。大塚英志は東浩紀に、「あなたが批評をやる理由はなんなのか」と問い続け、東浩紀は大塚英志に「誰もやる人間がいないからやってるだけだ。ほんとだったら辞めたい」と言い続ける。しかしお互いに譲れない主張を持ちながら戦うっていうのは、厳密に陣営が決められ、ルールが決められているディベートならばまだしも、こういった一般のいわゆる「対談本」でそこまで執着するってえのが凄いですね。普通、まあエンタメだし、とか、楽しませないとね、みたいな気概を働かせて途中でどっちかが折れるんでねーかなーと思うんですが、絶対に折れない。絶対に譲らない。それでこそここまで二人とも生き残ってきたのかもしれないです。ぼくは読んでいて、東浩紀と大塚英志の見る目がガラっと変わりましたね。批評界なんていう、あるのかないのかわかんないような地獄みたいなところで生き残ってきた男たちが、そんなやわな人間なはずなかった。それがわかっただけでも充分ですが、それ以外の話も凄く面白かったです。もうあんまり覚えてないけれども、それは話にインパクトがなかったというわけではなくインパクトがある話があまりにも多すぎてむしろ覚えきれなかった、みたいな。良かったです。