基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

「予測」で読解に強くなる!/石黒圭

「予測」って何だろう? どういうことを、予測っていうんだろう? と疑問に思って『「予測」で読解に強くなる!』を読み始めたら、予測ってなんだろう? という問い自体がすでに「予測」の範疇であった。つまり本書でいう「予測」とは、「文章に対して問いを立てる」ことであり、あるいはある程度答えを絞ることによって、『あとに続く展開の幅を限定するのが予測だと考えているのです(p.10)』ということになる。

予測することによって、無駄な処理をしなくてよくなり、結果本を読む効率が、また本を読む上での深さが、今まで以上にちゃんと行われるようになるのです。なぜ予測をすることにより無駄な処理が無くせるのかと言えば、本来からして文章には「一本道」、段々と進む過程において意味が見えてくるという性質があるからなのです。まあ考えてみればわかりますよね。

個人的にいいなぁと思ったのは以下の部分。

 私は、文章理解は文章を媒介にした読み手と書き手の疑似対話だと考えています。その対話は問いと答えによって勧められます。問いを発するのは読み手です。答えを出すのも読み手ですが、問いの手がかりや答えのヒントは、書き手によって文章のなかに埋め込まれており、それにもとづいて対話がおこります。(p.42)

「予測」で読解に強くなる! と石黒氏が最初に言い、僕は「予測ってなんですか?」と問い、石黒先生は、予測とは「あとに続く展開幅を限定するのが予測です」と言い、僕はそれに対してさらに問いを重ねる。あるいは小説ならば、作中の人物の心情をなぜ? いつ? どこで? どんな気持ち? と問いながら読んでいくことになるでしょう。そこには答えは書いてはありませんが、自分で答えを出すことが出来ます。

そういう自由度の高さというか、うーんなんだろう。まあシンプルに言えば僕はこの予測して外れたり、当たった! と思ったり、つまり著者との「疑似対話」というのが本当に好きで本を読んでいるんだなぁと本書を読んでいて、初めて気が付くことが出来ました。もちろん僕が書いたようなつたないまとめだけじゃ分からないと思います。本書が素晴らしいのはその具体例の多さで、実際に色々な本から引用してきて、様々な予測のパターンを「実演」してみせてくれます。

より深く「予測」について知りたいのならば、是非読むことをオススメします。以下目次にて締

はじめに
第一章 文章理解とは? 頭の中の理解の姿 音に頼るか文字に頼るか 読んだ順に理解できる不思議 文章理解のしくみ ボトムアップ処理とトップダウン処理 第二章 予測とは?予測を体験する 予測させる力の幅 予測のいろいろ 当たる予測と外れる予測予測とは何か 予測は文法ではない 予測を研究する方法 第三章 問いの予測とは? 「深める予測」と「進める予測」 冒頭文の「深める予測」「ケーベル先生」に見る「深める予測」順接展開の「進める予測」 逆説展開の「進める予測」 第四章 答えの予測とは? 「答えの予測」に価値がある ジャンル予測が当たって怖くなる 予測が外れて可笑しくなる 予測が外れてホッとする 「盲点」をつくテクニック 第五章 予測の表現効果とは?書くことと予測 構成を予告する 意味のまとまりを作る 文章のタメを作る 行間を読ませる 文章世界に引きこむ 

「予測」で読解に強くなる! (ちくまプリマー新書)

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