基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

織田信奈の野望

現在出ている一巻から四巻まで読みました。ライトノベル。タイトルからもわかるように、戦国時代の武将を片っ端から女性化しております。やったことないけど恋姫無双みたいな感じですね。そんなハーレム戦国世界に突如として現れるのが現代のただの戦国ゲーム好きの主人公で、何で飛ばされたのかさっぱりわからないのですがとにかく速攻で戦国時代に順応し、本物の木下秀吉になり変わって織田信奈の元で「歴史を知るが故の強さ」を発揮しながら全国統一を目指して活躍していく──

というのが主なあらすじです。僕は戦国時代がそんなに好きじゃないので詳しくないのですが、Wikipediaで調べたところかなり歴史的なイベントには忠実な物語になってます。キャラクターとかはおもっきりありがちなライトノベルキャラになっちゃってるんですけどね。重要イベントはきっちり抑えつつ、主人公が戦国ゲーム好きなのがこうじてか、「歴史を変えていく」というところに面白さがあります。

普通「歴史を変えていいのか?」とためらったりしてもいいはずですが、まあ織田信長が女の子になっている時点でどうでもいいんでしょう。それにゲーム好きという設定が大きいですよね。戦国ゲームのおもしろさの一つはは、「歴史のIf」を自分自身で作りだすところにあるわけですから。具体的に言えばとりあえずの最終目的は「本能寺の変で織田信奈が死ぬ運命を変える」という点にあります。当然ですね。

で、びっくりしちゃったのが、この主人公がマジで、全然悩まない。何にって、異世界に飛ばされて明日死ぬかもしれないのに、なんかもう「戻りたい」とか「あいつら元気かなあ(四巻には少しだけ母親を焦がれる描写が入る)」とか「どうやったら戻れるのか方法を考えよう」とか、ひとっことも言わない。読んでいてキチガイかと思ってしまいます。

そのあたりも「ゲームの世界が本当に味わえるんだからいっか」「織田信奈を導くのが俺の運命のような気がする」とかアホみたいな理由で説明されているわけですが、こういうのもある意味ライトノベル的な「お約束」なのかな、と思いました。「うじうじと元に戻りたいよーって悩む描写なんて、別に読みたくないでしょ?」という作者の声が聞こえてくるかのようです。

あーいやちょっと違うかな。たぶんこれは「戦国を主人公が知識を生かしてピンチになったり活躍したり歴史を変えたり」するのを楽しむ作品であって、「異世界に帰る為の作品は別にあるでしょ? この本では別にいいでしょ?」という話なのでしょう。ちなみに異世界に飛ばされちゃってマジで帰還したいとうじうじ悩む作品だと村上龍の『五分後の世界』が傑作だと思います。脇にそれたぜ。

むしろその辺をざっくりと斬り捨てちゃえるのがライトノベルらしいといえばらしいと思いました。目的に一直線。

ただ個人的にいただけなかったのは、あまりにもピンチがご都合的に処理されまくる点。「ピンチだー!」→「仲間が偶然間に合って助けてくれましたー!」「ピンチだー!」→「気合と根性でなんとかなりましたー!」というのを繰り返し繰り返しやられると「ピンチだー!」となっても「はいはい仲間根性」としか思わなくなる。

あとはまあ当然主人公がモテモテハーレムになって戦闘に勝ったりするとゲームよろしくご褒美エロイベントが発生するわけですけど、こここそもうツッコムのも野暮というか、「だって、ハーレムにならないよりは、なったほうが面白いでしょう? エロイベント、あったほうがいいでしょう?」てなもんで、「お約束」でしょう。

文句ばっかり言っているようなので褒めておくと、展開のさせ方がうまいと思いました。次から次へとイベントを起こして、同時に次の展開への伏線も忘れない。ピンチ→なんとかなりましたー! もさっき書いたように多用しすぎて「おいおい」てなもんですけど、緩急という意味ではないよりかはあったほうが大分ましです。

あと絵が良いですね。かわいいだけじゃなくて四巻の表紙とか、かっこいいです。そもそもこの表紙を見て「かっこいいなー」と思ったのが、読みたいと言う動機の核の部分ですしね。まあ十分楽しんだので、次巻から読むことはないと思いますけど(おい 

戦国時代や戦国武将が好きな人にはオススメです。

織田信奈の野望 (GA文庫)

織田信奈の野望 (GA文庫)

織田信奈の野望 2 (GA文庫)

織田信奈の野望 2 (GA文庫)