早川書房より。著者は世界屈指のデザイン・ファームIDEOの社長兼CEOのティム・ブラウン。デザインをどのような意味に受け取るのかは微妙に難しそうだけれども、とりあえずは「設計」「計画」を立てること、ということでおおむね間違いはないでしょう。デザイン思考とは、単なるデザインの先へ行った「人間のニーズ」に重点を置くことにも着目した、新しい物のようです。
従来のような既成の製品を少しバージョンアップしたもの(たとえばカメラの画素数がちょっとあがるとか、ゲームの画質が良くなるとか)ではなく、「まったく新しくて、それでいて誰もが望んでいたもの」は何なのか、ちう事を考えるのが「デザイン思考」だといったらかなりゆがめているかもしれないですけどだいたいあっているかと。
つっても内容自体は対して面白くなかったです。んーなんでかなーとは疑問に思うんですけどね。ほんとに退屈な本だったなあというのが正直な感想。恐らく、今まで読んできた本の中に、本書で書かれていることがもっと具体的にわかりやすく一冊に書かれてきていたからだとは思うのですが。
まず技術的可能性と経済合理性、人間のニーズなどを視野に入れて、まったく新しい物を創りだすなんていうのはこれはもう横井軍平さんの名著『横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力 - 基本読書』があります。正直これ一冊だけでも充分この本より面白いと思います。
また「人間のニーズ」に重点を置くような思想は『実践 行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択 - 基本読書』に通じるところがありますし、そして何より「思考」、発想、創造とは何か、などでは森博嗣せんせーの新書三部作があります。『森博嗣の新書三冊を一気に紹介 - 基本読書』
一冊で全てのエッセンスを含んでいると言えば聞こえがいいですけれども、ある意味中途半端ということでもあります。僕はこの中のどれか一冊でも読んだ方がよほどよい読書体験が得られるんじゃないかなあ、と思いました。
デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方 (ハヤカワ新書juice)
- 作者: ティムブラウン,Tim Brown,千葉敏生
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/04
- メディア: 単行本
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