基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

人間失格/太宰治

読書熱沸騰中、果たして何日続くものやら。

あらすじ

人間失格

感想 ネタバレ無

暗っこの話暗っ
遮光カーテンとかで真っ暗にした部屋ぐらい暗いっ。

読んで中断し、人と話してる間も何だか他人が乗り移ったかのように憂鬱な気分だった。人を憂鬱な気分にさせるとは恐るべき小説だ。しかし全く有用ではないな。
ある意味こういった本を呪の本というのだろう。まったくひどい話だ。訴えたら勝てそうだぞ。

勝てないけど

よく本気は人に伝わるというけれどこういう負のエネルギーも本気と同じぐらい伝わるのではないだろうか。なんか死にてー死にてー言っているようなそんな負のオーラが近寄ってくる。まぁこれを書いたあとに太宰治が死んだからそう思うだけなんだけどね・・・。

面白かったか?と聞かれたら多分暗かったと答えるだろう。
多分聞いた方は怒るだろう。面白いかつまらないか聞いてるのに暗かったと答えられたら当然だ。
まぁなんか面白いかつまらないかとかよくわからないけれどそういった方向の話じゃなくてなんか暗かったという印象しか残らなかった。
斜陽と比べたら断然斜陽の方が面白かったが、どちらがより凄かったかと聞かれたらどちらか迷う。

なんてひどい感想。

何でこんなにこの主人公は暗いんだろう?と疑問に思う事が出来たらその人は恵まれているのだろう。ってことは自分、恵まれている。やったね!

しかしもっと自伝的に書かれているのかと思っていたんだが、意外とそんなことなかった。むしろ普通に小説じゃないか。太宰の生涯を知らないと理解できないのかと思ったが、そんな事ないな。

個人的にはストーリーというよりも、ところどころにある印象的なセリフを拾い読みするだけでも十分に楽しめる作品だ。

もし仮に深く読みこんだとしても、太宰自身の生涯を考える事にしかならず、もう死んでしまった人間について考えるのも少々バカらしいものがある。それだったら上辺だけ読んであははーこの作品暗いねーとアホみたいに笑って読みたいものである。

ネタバレ有


 自分の幸福の観念と、世のすべての人たちの幸福の観念とが、まるで食いちがっているような不安、自分はその不安のために夜々、転転し、伸吟し、発狂しかけた事さえあります。

天才は早死にだ。少なくとも30代手前で死ななくては天才ではないのではないかという勝手な持論を自分は持っている。もちろん根拠はない。なんとなくそう思っただけだ。アインシュタインだって長生きだしフェルマーだってニュートンだってみんなみんな長生きだ。

考えすぎだ!

多分伊坂の小説に影響を受けたんだな。確か登場人物がそう言ってた気がする。その時30手前で死んだ人間の例としてビートルズかなんかのバンドマンをあげていたな。そうか、芸術方面の天才か。なるほどなるほど。数学方面の天才しか考えてなかったぞ。うむむ。
なんかいたかな、芸術方面。ピカソ

は長生きだしダヴィンチも長生きだ!なんてこった!もう知らんわ


 女があんなに急に泣き出したりした場合、何か甘いものを手渡してやると、それを食べて機嫌を直すという事だけは、幼い時から、自分の経験に依って知っていました。


実はこの人間失格友人に借りたのだが、この部分に入念に線が引いてあって思わず笑ってしまった。そうかそうか・・・そんなにここが重要だったか・・。

今度からそうしよう・・・。


 用をいいつけるというのは、決して女をしょげさせることではなく、かえって女は、男に用事をたのまれると喜ぶものだという事も、自分はちゃんと知っているのでした。


ここにも線が・・・。勉強になります。太宰先生。まったく太宰先生の時代から女も男も進歩していないであります。

それにしても本当に女によくもてる。何だか色々な感情が湧きあがってくるなぁこういうものを読んでいると。もやもやっと。何でそんなにもてるねん、みたいな。


 ああ、人間は、お互い何も相手をわからない、まるっきり間違ってみていながら、無二の親友のつもりでいて、一生それに気付かず、相手が死ねば、泣いて弔詞なんかを読んでいるのではないでしょうか。


それはそれで悲しいが、それがどうしたの?という感情が湧きおこる。死んだ本人が墓場まで持っていけば、その状態に何の問題も起こらない。むしろ自然な事だ。そんな事に一々矛盾を感じてしまうから、もちろん人間失格ということなのだろう。矛盾を矛盾として肯定できないと、矛盾だらけのこの世界で生きていく事は出来ないのだろう。

それにしてもこの小説は、あとがきまで小説の一部なんだなぁ。

あ、そういえば内容についてほとんど語っとりゃせんがな。こりゃまいった。なんか1年後には完全に内容を忘れてそうだからここに書いておかないと・・・。

自殺に何度も失敗した人間の心理状態っていうのは、一体どういうものなのだろうか。いつだって死んでやる、というような心理状態っていうのは意外と何でもやれるのではないか、なんて当たり前の論理じゃなくて、自傷行為によって死ぬような気配だけを装って満足するとかいう底の浅い話じゃなくて、本気で死のうとして何度も助かるとしたらそれはいったい何がたまっていくのだろう。

まぁ太宰が本気で死のうとしてたかしてないかなんて知らないし興味もないのだが。4回だか3回だか失敗しておいて、何を思うのか。意外と、次はうまくやるぞ!っていう前向きな意気込みだったりして、死ぬのに前向きってのもおかしな話だが。目標自体が後ろ向きなのに意気込みだけは前向きか、ちょっと面白いな。Funnyだ。

2008/7/15