基本読書

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三国志 二の巻 参旗の星/北方謙三

感想 ネタバレ有

まさに、群雄割拠というべきか。勢力が多くてめまぐるしく視点が変わる。どうにも慣れない、というか慣れないというわけではないんだが。最終的に蜀、呉、魏の戦いになっていくのがわかっているだけに、脇キャラの視点があまり面白くないと感じてしまう。その点水滸伝じゃ一人一人のキャラが非常に面白くてどの視点も楽しかったのだが、これは単純に原作を知っているかいないかの違いだけだろうか。

曹操呂布の視点が多くて、劉備の視点が少ない。それにしても呂布の描写の厚さは凄まじいな、こりゃ間違いなく近いうちに死ぬな、とつまらない予測をしてしまうが、楊志のような死を見せてくれるのだろうか。

あれだ、それにしてもどうしても水滸伝と対比してしまう。仕方ないといえば仕方がないのだが、これからは少し抑えていくかな。

赤兎馬と語り合う呂布の描写が何回か出てくるが、老いを感じさせる話だったり戦争の話を延々と語ったり、感じいる描写だ。普通三国志呂布というと、ほとんど喋らず他人の言う事を聞いて戦に出ていき闘うだけ闘う、というあるいみ機械的なイメージなのだが北方三国志じゃ完全に一人の人間として描写されている。

赤兎っていう名前はどこから出てきたんだろうなぁ。兎っていうイメージじゃないだろう、赤虎だったらまだ納得いったものを何故兎なのだろうか?調べてみたけれど、焼酎しか出てこない。赤虎でも赤雷でも、もっといい名前があったように思うんだがなぁ。ひょっとして、品種名だったりして、とも思ったけどそれだったら別に名前をつけるよな。


 呂布は、陽を浴びて輝く、沖の海面に眼をやった。赤兎が、そばへ来て躰を寄せる。
 「天下は、あれほど遠いかな、赤兎?」
 赤兎の体が、かすかに動いた。
 「俺とおまえで、天下を取ろうか。どうせ、いつかは死ぬのだからな」

すっげーいい終わり方。

黄布の軍百万を曹操軍がわずか三万で打ち破る場面がある。正直いって、百万という軍勢がいったいどれほどの数なのか、まったく想像する事が出来ない。百万も人間がいたらどうやってそいつらは飯を食ってるんだ?

バキで同時に四人相手に出来たら地球上の人間を相手にしても負けない(数字はかなり適当)とかいう話があったが、百万もいたって、百万全員が同時に攻撃できるはずがないんだから、そういった間隙をついたということなのだろうか。百万を想像する力が足りないからそれを三万で打ち破るのも想像できない。

というか人数の規模が凄いなぁ、これだよこれ。日本じゃそんなに人間がいないからなぁ。

曹操劉備呂布の視点がいまのところ一番面白い。だんだん絞られてきて、視点の数が少なくなってきたらもっと面白くなってくるだろう。

呂布が反則級に強すぎる。逆に、曹操の負けっぷりが笑える。あれ、こんなに負けるキャラクターだっけ?という感想を持ちながら読んでいた。とにかく呂布にぼっこぼこにされる。え?そんなにふるぼっこにされんの?曹操マジダッセェと思いながら読むものの、呂布+五百騎の恐ろしさは読まないと伝わらない。そりゃ曹操も尻尾巻いて逃げるわ。

そして劉備である。

退かぬ媚びぬ顧みぬじゃないが、我が道をいくっぷりがすさまじい。何がどうなってやがる。

二巻っていうのはシリーズものじゃ結構微妙に位置にあると思う。一巻はいうまでもなく重要だが、二巻っていうと話をあとにつなぐためのツナギ的な要素が強いんじゃないか。ここじゃまだキャラ設定を説明するってぐらいのノリで軽く読んだような気がする。