基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

三国志 一の巻 天狼の星/北方謙三


感想 ネタバレ無

十九巻もある水滸伝を読み終わった次の瞬間に同作者の三国志を読み始めるとは完全に中毒です。

いやいやしかし北方謙三には本当に感謝せねば、ほぼ十年間も眠っていた自分の歴史小説への情熱を再びイグニッションしてくれたのだから!

小学生の頃に三国志を読んだのは覚えている。誰が書いたものかは忘れたが。それから何年か前に宮城谷昌光三国志を読んだ記憶がある。それから蒼天航路も、横山三国志も読んだ。いったいどれだけ三国志が好きなのかと。これで小説では三度目の三国志である。そういえばゲームでもやったな。

いったいなにがそんなに人を惹きつけるのだろうか。いや、面白いからだろう。

読んで思ったのは三国志こんな話じゃないよなぁという感覚である。
水滸伝を読んだときには何も感じなかったが三国志を読むことによって、同時に水滸伝の凄さも味わっている気がする。なるほど、北方版になってしまうというのは、こういうことだったのか。なんというかまるで歴史小説を読んでいる気がしない。時代を感じさせない。いい事か悪いことかはわからないが、滅茶苦茶おもしろい。

劉備がかっこいい。呂布がかっこいい。ていうかみんなかっこいい。というかこの感想、水滸伝と全く一緒だ。

単純に文章だけでいえば水滸伝の方が断然わかりやすかったように思う。特に合戦のシーン。なんだか三国志だと、ごちゃごちゃしていて少しわかりづらい。どうなっているのか想像力をかきたてられる感じがしない。って勝手なこといっているなという感じであるがそれはしょうがないのか、先に書かれた方だから、まだ洗練されていなかったか、単純に自分の勘違いという事もありえる。というか確率的にいえば2:8で自分の勘違いの線が濃い。

だがそれでも面白さが水滸伝と全く引けをとっていないと思うのはやはり、長年連れ添ってきたキャラクター達とのなじみの深さであろう。名前を知っている数々のキャラクターが出てきて、北方謙三に動かされ喋らされる、それを読んでいるだけでたまらなく面白いのである。もはや反則ではないか。ってまだ一巻しか読んでないんだけどな。

この先の展開を全く知らないのだが、孔明が気になるなぁ。あの天才軍師がいったいどうやって北方謙三にアレンジされて登場してくるのか。小学生のころ読んだ三国志で、劉備関羽張飛が死んだあと、一人孤独に闘い続け、敵を罠にはめ続け、自分の死すら罠に使った孔明を読んで、滅茶苦茶感動、もしくは泣いた覚えがある。

北方謙三によって孔明がどうなるのか今からわくわくが止まらん。

間違いなく面白い。だが残念なのは、この三国志を読み終わった時に自分はどこへ行けばいいのか、じゃなかった何を読めばいいんだ! 水滸伝三国志ほど満足させてくれる物語はどこにあるんだ!
SFでも読むかな。

ネタバレ有

 「ならば、去れ。私は、賊になるつもりはない。男には、命を捨てても守らなければならないものがある。それが信義だ、と私は思っている」


劉備のセリフだと思えんな。なんでこんな漢とかいてオトコと読むようなキャラクターになってしまっているんだろう。最高すぎる。

そういえば読んでいて全く気付かなかったが、桃園の誓いがないなまぁそれはいいか。あまり必要とも思えんしな。


 「進むぞ。涿県に未練を残すな。われらは、大義のために闘う。命は、この劉備玄徳が預かる。死のう。ともに死のう。生きて、生き抜いて、闘い尽くしたあとに、ともに死のう。それを、男子の誇りと思える者だけが、われに付いてくるがいい」


劉備・・・立派になっちゃって・・・。見当違いもはなはだしい話だが、何故かこんな立派な劉備を読んでいて泣けてきた。なんだか出来そこないの自分の子供が立派になって帰って来たみたいなそんな意味のわからん感情がわき起こってきたが自分にすら意味がわからん。


 「私も、負けた。完膚なきまでに、負けた。この姿を見れば、それはわかろう。しかし、私は闘って負けた。そして諸君は、闘わずして負けたのだ。私は、闘わずして負けた諸君に、訣別を告げる」

ぎゃぁぁぁぁ面白すぎんだろぉぉ。ちなみに曹操のセリフである。もうこのセリフを読んだ瞬間に、自分の心の中にあるわけわからんメーターが猛烈に限界を振り切って一回転も二回転もしてさらにひゃっほぉぉぉと叫んで清水の舞台から飛び降りるかのごとくベッドの上でごろごろと転げまわり声に出して三回ほど朗読しもう一度読み直し今こうして書きながら首を激しくシェイクしながらもう一度読んでいるのである。(誇張表現)

悶えた。身が悶えた。面白くて。三国志、なんだかよくわからないけど、面白いねやっぱり。

水滸伝は基本的に百八人の英雄を書いていく物語だった。一人一人に視点があたり、宋と梁山泊という二つの立場しかなかった。それはそれで、もう絶賛としか言いようがないほどに面白かったのだが三国志は乱世である。梁山泊のような存在がいくつも立ち上がり、おれがおれがと天下を奪いに走る。そういった意味で、視点の移動がまた水滸伝とは全く別物になっている、と感じる。どっちがすぐれているとかじゃなくて、物語にあっている。

それにしても最期の最後であっさりと孫堅死んだな。思わずえぇぇぇぇと声に出して言ったぐらいだ(誇張表現)

まぁ十三巻だからな、二週間かからんだろ。