基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

復活の地 1 /小川一水

恐ろしいまでの理想主義者の氾濫。こんなにいっぱいいていいのか、理想主義者。特に笑ったのは戦場にいながらにして、不殺を自分に命じている男。剣心が不殺をいったって自分一人のことだから勝手にしろよ、というところだが戦場において不殺ってなんぞ。いったいなにがしたいんだ。農場経営でもしてろよ。た、たまげたぜ・・・
主人公は民のためなら何でもやる熱血正義漢。皇族のヒロインまで出てきて、この二人がくっついたときには権力乱用雨あられで正義の行使のために使われまくるのだろうか。おそろしやおそろしや。こいつが権力をにぎったら大変な事になるに違いない。
やけに頭がいいやつと頭が悪いやつでキャラクターがすっぱりわかれている。
たんに頭がいいというよりも、まわりがバカすぎて普通の考え方をしているのに相対化によって頭がよくみえるという不思議な現象が起きているのではないか・・・。

さらにいうけどこれはSFにする意味があったのだろうか。レンカ帝国とかどっからどうみても日本やん。ていうかこれ日本沈没やん。いやいや、一巻の時点では、日本沈没と大差ない。ただのスケール劣化バージョンだが、なにしろまだ一巻なのだ。ここから先、小川一水がやりたかったことが明らかになっていくのだろう。

あまりにも似ていたので、ちょっと復活の地、日本沈没で検索してみたら、思う事は誰もが同じなようでそこかしこで日本沈没と復活の地について書かれている。影響を受けていることは丸わかりなのであるが、漫画などならトレース! パクリ! といって騒がれるのに小説では、驚くほど受け入れられている。単純に読んでいる人間が多くないからだろうか。P214のガーベルウェイフがレンカ帝国民を見て、彼らはそういう民族なのだよ・・・と説明する場面は、日本沈没のオマージュだろう。

何故これをSFにしたのか、と先ほど書いたけれどそのあたりのことも二巻以降明らかになっていくに違いない。いくつもの惑星に人が住み、恒星間宇宙船も大量にあるという設定なのにあえて災害ものにしたのは凄い。こんなもの読んだことが無い。普通星間大戦ものだと思うだろう。こっちだってそのつもりで読み始めたのだ。だが書かれていたのは大地震の影響から、頑張って生き延び、復興しようとする描写の数々。着地点がまったくわからない。

一巻は世界設定と人物設定と地震が起こって、そこからどう動いたかが書かれた導入部である。ここから先が本当の話なのだろう。日本沈没は寄る辺を失ってしまった日本人がどう生きていくか、の物語であったがレンカ帝国の場合はどう復興していくかの物語である。

絵をどっかで見たことがあるなぁと思っていたら古橋のブライトナイツホーリーランドの人か。二枚ぐらい背景が真っ白の挿絵があって思わず笑ってしまった。彼らは空白の世界にすんでいるのですか? あとサユカだけ何故和服なのだ。

なにはともあれ話はまだ始まったばかり。二巻が楽しみである。