- 作者: 栗本薫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1983/09
- メディア: 文庫
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冒頭のモンゴールが蹂躙されていく様と、一番最後のモンゴール一般兵ダンとその家族の話は対比されているようで非常に良かったです。視点が一般市民に戻ってくることによって、なんというか、物語的にも地に足がついた感じ。しかしレムスとリンダがこうやってパロへ帰還して初めて思ったのですが、こいつらは本当に何にもしてないですな。ずっと守られ通しで、保護されてからは描写されることも少なくなってしまいました。それでもグインよりはマシといえるかもしれません。自分はグインがパロの人々に恐れられたり、ナリス様が「ややっなんだこいつ、謎だ! よだれがしたたるような極上の、究極の謎や! ちこうよれ!」みたいな展開が非常に非常に楽しみだったのです。それからグインがパロの部隊を率いてモンゴールを蹂躙して、アムネリスに向かって「19歳の小娘が! そのへんでちぢこまってやがれい!」みたいにお説教するのが読みたかったのです。それなのにグインは出てこない! まあ致し方ないといえば、致し方ない。グインだっていずれは一国の王になるのですから、そんな自分とはあんまり関係がない戦いに精を出している暇もないのでしょう。
あとはまあ、アムネリスがおもしろくなーい感じになったり、レムスが考え過ぎで参ってておもしろくなーくて、カメロンは相変わらずイシュトヴァーンラブで、スカールは駄々っ子でノスフェラスがヤバい。15巻の時点で上がりきったテンションが終幕によってクールダウンされた感じです。話の流れも、おもに次巻からの伏線にあてられていましたから退屈なのもしょうがないかなー。というわけで締まらないですが16巻これにて終