2006年が初版だしばんばん売れているしで時期を逸するにも程度ってもんがあるだろうというぐらい何もかも逸しているのですが、しかしまあ一度は読みたい読みたいと思っていたので読むのもいいでしょう。
読んでみたら難しいことは何もいっていなくて、凄くわかりやすかったです。凄い。ぱらぱらめくれる。シンプル。簡単でわかりやすいから重要でないかといえば、そんなこともなくて超重要です。
一言でまとめてしまえば「決定的な証明は絶対にできない」というところに集約されます。100万回も実験して、常に仮説通りの結果が出たとしても、100万1回目で仮説通りの結果にならない可能性が出てきたら、それでその仮説は崩れてしまうからです。
今ではアインシュタインの相対性理論が一般に広く「正しい科学」として広まっていますけれども、これだって「いつかは覆される」可能性を持っているのだと言えます。何しろアインシュタインだって、「正しい科学」とされていたものを覆して相対性理論を提唱したわけですから。
しかしどんなに合理的に見える仮説を提唱したとしても、それがいつかまた覆されるかもしれないというのはなかなかつらいものがありますね。本文中で一番ぐっときた言葉も、「科学と真理は近づくことはできてもけっして重なることはできない、ある意味とても切ない関係なんです。」(p.153)でした。
その切なさを認識して、それでも科学的に思考すること。その葛藤をちゃんと受け入れること。それが思い込みで判断しないための考え方なんだろうあなぁ、と思いました。
99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)
- 作者: 竹内薫
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/02/16
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