新しい職場に初めて出社した日、
嶋はエレベーターで二日酔いの男と一緒になる。
それが、新しい上司・外川との出会いだった。
無遠慮で図々しいように見えて、
気遣いを忘れない外川に惹かれる嶋だが、
傷ついた過去の経験から、一歩踏み出せずにいる。
一方、忘れることのできない記憶を抱えながらも
外川は傷つくことを恐れず、嶋を想う心を隠さない。
好きだけど、素直にはなれない・・・
不器用な想いの行方は?
著・ヨネダコウ。俗に言うBL漫画。「普段絶対に自分が読まないようなものを読もう」と思い立った時にオススメされてちょっとためらってしまったもののたしかに普段は読まないなと思いなおす。とくに何の違和感もなく読み進めたけれども、面白かったのはBL漫画というのはまるで男が女とくっつくのが自然なのと同じようなレベルの自然さで男と男がくっつくものだと思っていたのが裏切られたところです。
たとえば「家族」なんていうものは、その語の一般的な意味で解釈すれば男同士では構成不可能なものだけれども、そこが無視されずに「家族を作りたいけど二人じゃ作れない」という問題がクローズアップされて悩みになっているのがとても不思議だった。あと嶋という男の傷ついた過去も、前の会社で男と付き合っていたことがバレてイジメを受けていた──というもので、「男同士ゆえの問題」がちゃんと扱われているわけです。
なんとなく、BLに求められているのは女性が女性特有の人間関係の煩わしさ? というか男と女のあのどろどろしたやり取りから逃れたいという欲求なのかなーだったらあんまり性的なことも問題にならないのかなーとと思っていたんですよね。その予想は見事に裏切られたわけです。
まあ、一冊完結なので主要な登場人物も二人しかいませんしそこまで話が複雑じゃないんでこれ以上特に書くこともないんですけど、『どうしても触れたくない』というタイトルに示されているような、「触れたくないけど(男同士じゃ家族を作れない、とか過去のトラウマが邪魔して)触れちゃうよん」という葛藤、ジレンマが面白い作品でした。
どうしても触れたくない (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26)
- 作者: ヨネダコウ
- 出版社/メーカー: 大洋図書
- 発売日: 2008/09/01
- メディア: コミック
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