目次を見るかぎりでは極普通の自己啓発書で、読む気がしなかった。だけどこれはなかなか面白い。なんかかっこいいタイトルがついているが(同時期に『僕は君たちに武器を配りたい』という同じくかっこいいタイトルの本を出している)中身は「ディベートを通して客観的思考力をつけよう!」という「ディベート本」である。
ディベートというのは普段意識することが少ないけれど現代では能力として身につけると応用が幅広くきく優れた競技で、新卒就活生なんかは選考過程で議論を行うことが多々あるのでディベートを経験している/いないというのは大きな差になる。ディベートはスポーツと同じようなもので、技術があるし練習も必要だからだ。
どちらの立場にたってもいいように賛成側の意見と反対側の意見を、これ以上反論はできない、というところまで考えたり調べたりしていく必要がある。一つの議題にまったく逆の立場の意見を真剣に考えるのは客観性を生むのに最適だろう。それで、読んでいて驚いたのだけどディベートって結構構造的に議論を捉えているんですよね。
たとえばある議題があるとして、賛成側はその議題に対するメリットを挙げるわけですが、このメリットを成立させる為の条件が3つあります。
①内因性(なんらかの問題があること)
②重要性(その問題が深刻であること)
③解決性(問題がその行動によって解決すること)
同様にデメリットにも3つの条件があります。
①発生過程(論題の行動を取ったときに、新たな問題が発生する過程)
②深刻性(その問題が深刻であること)
③固有性(現状ではそのような問題が生じていないこと)
なるほどなるほど。で、反論する際はこの上記の3つに対してそれぞれ有効と思える反論を行なっていって、第三者によって判定を行うのが「ディベート」っていう競技らしい。初めて知った。面白い! で、これもまた凄く面白いな〜〜と思ったとこなんですけど、『でもどうやって判定するの? 審判次第じゃない?』という問題に対する答え。
「正しい主張」、これにも3つの条件があります。
①主張に根拠がある
②根拠が反論にさらされている
③根拠が反論に耐えた
「科学」の一つ定義として他者によって再現が可能なものというのがありますが、「正しい主張」も似たような定義がされていますね。
ディベートは最初にも書きましたけど、今では応用がきく役に立つ能力が育てられる競技なのに、競技人口は少ないし(ディベート甲子園というやつは全国で100校程度しか参加していないらしいbydaen0_0 参考までに野球の甲子園はだいたい4000校)参考になるような書籍もあまり知らない(まあこれは僕が知らないだけだけど)ので、こうやってディベートの知識を広めてもらえるのは大変嬉しいな、と思いました。
- 作者: 瀧本哲史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/09/22
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