基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

脳が監視される時代に向けて、何ができるのか──『ニューロテクノロジー: 脳の監視・操作と人類の未来』

ニューロテクノロジー: 脳の監視・操作と人類の未来作者:ニタ・A・ファラハニー河出書房新社Amazonニューロテクノロジーの実用化が現実のものとなりつつある。これは脳神経系の機能を拡張したり強化したり理解することを目的とした技術分野で、脳に電極をつ…

なぜ負傷もないのに痛むのか。そして、どうやって痛みを取り除くのか──『痛み、人間のすべてにつながる | 新しい疼痛の科学を知る12章』

痛み、人間のすべてにつながる――新しい疼痛の科学を知る12章みすず書房Amazonこの『痛み、人間のすべてにつながる』は、文字通り人間が抱える「痛み」について書かれた一冊だ。著者はオックスフォード大学医学部のリサーチ・フェロー、皮膚科医で、既訳に『…

「ホープパンク」の代表的作品と目される、希望とあたたかさに満ちたロボットとの旅路──『ロボットとわたしの不思議な旅』

ロボットとわたしの不思議な旅 (創元SF文庫)作者:ベッキー・チェンバーズ東京創元社Amazonこの『ロボットとわたしの不思議な旅』は、多文化を乗せた宇宙船の長い旅路を描き出したスペースオペラ『銀河核へ』などの著作がある、ベッキー・チェンバーズの最新…

世界初のヨット無寄港無補給世界一周に挑んだ男たちの衝撃の実話──『狂人たちの世界一周』

狂人たちの世界一周作者:ピーター・ニコルス国書刊行会Amazon先日テレビをみていたらヨットでの単独無寄港無補給で世界一周を行う「ヴァンデ・グローブ」(今年は11月10日からスタートする)の解説を行っていた。現代ではテクノロジーが進歩しているの30日ぐら…

なぜ幻覚剤がうつ病に効果があると言われているのか?──『幻覚剤と精神医学の最前線』

幻覚剤と精神医学の最前線作者:デヴィッド・ナット草思社Amazon近年、LSDをはじめとした幻覚剤の有用な側面を捉え直す研究が活発だが、本作もそうした流れに連なる一冊である。著者は精神科医・神経精神薬理学の教授で、幻覚剤を使用した際の脳内の影響につ…

早川書房の2000作品以上が最大50%割引の秋の電子書籍セールがきたので、新作ノンフィクション・SFを中心にオススメを紹介する

毎年秋頃に恒例となっている早川書房の電子書籍最大50%割引のセールがきているので、今回も「前回から今回にかけて、新しくセール対象になった作品」を中心に紹介していこうかと。期間的には、だいたい2023年12月頃〜2024年4月頃の作品までが新しくセール対…

『三体』の劉慈欣と並び称される作家・韓松による超ド級のSF長篇──『無限病院』

無限病院 医院作者:韓 松早川書房Amazonこの『無限病院』は、中国SF四天王の一角にして『三体』の劉慈欣と並び称される韓松による〈医院〉三部作の開幕篇だ。帯の惹句には劉慈欣が『中国のSFをピラミッドとするならば、私が書くような二次元のSFはその土台、…

国家を崩壊に向かわせる要因について、歴史を定量分析することで導き出す「歴史動力学」を扱った一冊──『エリート過剰生産が国家を滅ぼす』

エリート過剰生産が国家を滅ぼす作者:ピーター ターチン早川書房Amazonこの『エリート過剰生産が国家を滅ぼす』は、もともとカブトムシやチョウといった生き物の個体群動態について研究して生計を立ててきた研究者が、複雑系科学のアプローチを人間社会の研…

いかにして未来の爆破事件を防ぐのか?──『FBI爆発物科学捜査班:テロリストとの30年戦争』

FBI爆発物科学捜査班:テロリストとの30年戦争作者:カーク・イェーガー,セリーン・イェーガー原書房Amazonこの『FBI爆発物科学捜査班』は、FBIで爆発科学捜査班として数々のアメリカの爆破事件のみならず世界中の爆破事件の調査に関わってきた人物による、爆…

星雲賞受賞作にして藤井太洋のあらたなる代表作といっても過言ではない、未来の戦争を描き出した長篇SF!──『マン・カインド』

マン・カインド作者:藤井 太洋早川書房Amazonこの『マン・カインド』は、至近未来ー近未来を主な舞台に選び、現実の社会情勢や技術の延長線上で様々な短篇・長篇を発表してきた作家、藤井太洋の最新長篇だ。最新とはいっても本作はSFマガジンで2017年〜21年…

ロマンタジーブームの火付け役となり全米で400万部以上を売り上げた近年最大の話題作であるドラゴン・ファンタジイ──『フォース・ウィング-第四騎竜団の戦姫-』

フォース・ウィング-第四騎竜団の戦姫- 上作者:レベッカ ヤロス早川書房Amazonこの『フォース・ウィング』は現代を舞台にしたロマンス物の著作が多数あるレベッカ・ヤロスの初のファンタジイにして、全米で400万以上を売り上げ超大ヒット作となった(すぐ…

他文化との交流で必然的に発生する情動の摩擦を、いかにして乗り越えていけば良いのか?──『文化はいかに情動をつくるのか──人と人のあいだの心理学』

文化はいかに情動をつくるのか――人と人のあいだの心理学作者:バチャ・メスキータ,唐澤真弓紀伊國屋書店Amazon複数の集団の文化的データを分析すると、西洋人のサンプルが必ず分布の最端部に位置する──つまり、西洋人を対象とした研究は、地球人類・文化とい…