基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

国家はなぜ衰退するのか:権力・繁栄・貧困の起源 by ダロン アセモグル,ジェイムズ A ロビンソン

制度の違いが国家の繁栄と衰退の道筋をわける。著名人、ノーベル経済学賞受賞者などから絶賛の言葉が帯に載せられていてひたすらに目立つし上下巻ということもあって大著の印象を受けるが、実際中身も相当すごい。著者らが十年以上時間をかけて進めてきたと…

死刑執行中脱獄進行中『悲惨伝』 by 西尾維新

下に書いていくことの要約。前作『悲痛伝』の1.7倍ぐらい面白い。その理由はようやくサスペンスとして、空々空の主人公としての魅力が発揮される場面になってきたからである。そして西尾維新版ジョジョそのものなので、ジョジョノベライズにがっかりした…

ZOO CITY 【ズー シティ】 by ローレン・ビュークス

舞台が南アフリカ! 一体の動物と共生関係を結ぶとそのかわりに超能力を得るという「うわああジャパニーズ・能力バトルだあああ惑星のさみだれだあああしかもヨハネスブルグの天使たち(宮内悠介)⇒ これは凄い。『ヨハネスブルグの天使たち (Jコレクション)…

神様が殺してくれる by 森博嗣

あまりに美しい、誰もがその存在を強烈に意識せざるを得ないような類の個人がいたとしたら──当人も、周りの人たちも多かれ少なかれその力に影響されるだろう。本書は森博嗣氏による最新長編だがまあ概ねそういう話であったとぼかしながら最低限の説明を試み…

Who Owns the Future? by Jaron Lanier

『人間はガジェットではない』⇒人間はガジェットではない - 基本読書 を書いたジャロン・ラニアーによる新刊。人間はガジェットではないの中でラニアーは、ガジェットによって消されていく「個」があるが、いつだって何かを生み出していくのは一人の人間なの…

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア

MBA(Master of Business Administration)取得者の話を聞いたり読んだりしているとなんだか「経営の特殊状況について」議論しているばっかりで、経営理論みたいなのはまなんでんのかあ?? というか経営科学なんてあるのかな?? と疑問に思っていたのだが……

シスターズ・ブラザーズ by パトリック・デウィット

いやあよかった。最初から最後までその不思議な魅力にとらわれっぱなしだった。西部劇物といっていいのだろう。馬に乗って、銃を吊り下げた兄弟のコンビが一人の男を狙って何週間もの旅をする。怪しげな歯医者、馬の目をえぐりとってお金を得ようとする男、…

チーズとうじ虫―― 16世紀の一粉挽屋の世界像 (始まりの本)

ギンズバーグによって書かれた本書『チーズとうじ虫―― 16世紀の一粉挽屋の世界像 (始まりの本)』は1976年に出版された。かつて「国王たちの事跡」しか知ろうとしないといって批判された歴史家とは違い、もっと注目されていなかった、忘れ去られそもそも…

階級「断絶」社会アメリカ: 新上流と新下流の出現

アメリカはもとより富裕層と貧困層があったが、現代では行動様式や価値観といった「核」になるところで両者の間に階級格差がうまれている。長い間アメリカ社会の動向は人種と民族の観点から語られてきたという。たとえば白人に比べた黒人の貧困率、白人に比…

マージナル・オペレーション

これは予想外の出会い。日本の30歳ニートが民間軍事会社に入ってその才能を開花させるという一文ぐらいの情報は知っていてどこかのタイミングで読みたいと思っていた。いっぽう、それは飛び道具すぎないか? というのと主人公が強い系のライトノベルの流れ…

キリの悪い所でやめるメソッド

小ネタ。よく学習法で「一日たったの五分でOK!」みたいな謳い文句で売り込んでくるケースが見受けられるが、あれは信用ならない。なぜなら何においても「はじめる」のが非常に億劫なのであって、一度はじめてしまえば五分なんていわずに二十分でも三十分で…

ドキュメント遺伝子工学 巨大産業を生んだ天才たちの戦い (PHPサイエンス・ワールド新書)

生物系の本は好んでよく読んでいるのだけど、遺伝子工学の本を読んだことはそういえばなかった。これは新書だし、入門としてはなかなか良いのではないかと思い手にとってみた。遺伝子から病気の傾向をみたり、遺伝子を調べて薬の副作用を減らすのに役立てた…

自由と尊厳を超えて

山形浩生さんが訳しておられたので読んでみた。1971年の古典といっていいのかどうかわからない微妙な時代に出されたものの、再訳となるらしい。著者のB・F・スキナーは行動心理学の開祖ということで、そうした前提情報を何も知らずに読み始めたのがこれ…

レイヤー化する世界 (NHK出版新書 410)

これは無責任すぎるのでは……と読み終えて思った。現状を大雑把にまとめあげただけで未来への提案は無内容極まりなく評価は高くない。佐々木俊尚さんによる最新の著作で、歴史観点からみて民主主義というのが必然的な結果として生まれたシステムなのではなく…

英語を読むことについて

コニー・ウィリスによるSFシリーズであるオールクリアの2巻が出た。これにてブラックアウト、オールクリアと続いてきた長大な物語が完結になる。ブラックアウトを読んだ時点でオールクリアを待つのがつらくなり、英語を勉強して洋書で読んだ身としては非…

タイムトラベルものとして新機軸の発想と演出が面白い。『ガーメント』

ガーメントは『ダイナミックフィギュア』や『シオンシステム』を出版している三島浩司さんによるタイムトラベル戦国時代もの。僕はすべてスルーしていたんですけど、これはなんとなく読んでみたら大当たり! タイムトラベルで行われるアイディアはめちゃくち…

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)

初出は1972年で、増補版が2009年に出ている名著なのだが、いまさら読んだ。そして、めちゃくちゃ面白い! 日銀に長らく努めていた服部さんがアフリカ中央の小国ルワンダの中央銀行総裁にODAの一環で送られたあとの6年間が語られているのだが、日銀…

荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟 (集英社新書)

言わずと知れたJOJOの作者である荒木飛呂彦先生の映画語りシリーズ第二弾。荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 - 基本読書 前作はホラー映画祭りということで、基本的にホラー映画しか取り上げられなかったのだが今回のテーマは「サスペンス映画」になっていて…

オブリビオン

いやーたいへん楽しみました。トム・クルーズ主演によるばりばりのSF映画で、タイトルがオブリビオン! 時は2077年であり地球は敵性エイリアンの攻撃を受け全壊状態。そこら中廃墟の有様でとても人がすめるようなところではない。そんな中トム・クルー…