基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

科学ノンフィクション

読めば絶対走りたくなる──『ランニング・サイエンス 「走る」を科学する』

ランニング・サイエンス作者: ジョンブルーワー,菅しおり出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2017/10/19メディア: 単行本この商品を含むブログを見る参った。暇はぜんぜんないのだけど、読んだら思わず走りたくなってきてしまった。週末にはランニングウ…

特殊な状況下での人を救う研究──『兵士を救え! マル珍軍事研究』

兵士を救え! マル珍軍事研究作者: メアリー・ローチ,村井理子出版社/メーカー: 亜紀書房発売日: 2017/09/22メディア: 単行本この商品を含むブログを見るマル珍軍事研究という書名から、てっきり軍事研究における「そんな研究があったのかよガッハッハ」と笑…

勝てないゲームなんてほとんどない──『完全無欠の賭け: 科学がギャンブルを征服する』

完全無欠の賭け: 科学がギャンブルを征服する作者: アダムクチャルスキー,Adam Kucharski,柴田裕之出版社/メーカー: 草思社発売日: 2017/11/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見るもし何らかの必勝法が存在し、競馬を当て当たりくじだけを買い続けル…

わたしたち人間はなぜ音楽を愛するのか?──『ドビュッシーはワインを美味にするか? 音楽の心理学』

ドビュッシーはワインを美味にするか?――音楽の心理学作者: ジョンパウエル,濱野大道出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/11/07メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る人間は音楽を聞く。通勤、通学のときはもちろん、家でゆっくりし…

理性的な狂人──『人間をお休みしてヤギになってみた結果』

人間をお休みしてヤギになってみた結果 (新潮文庫)作者: トーマストウェイツ,Thomas Thwaites,村井理子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/10/28メディア: 文庫この商品を含むブログを見るつい最近も僕は『動物になって生きてみた』という、2016年のイグ・…

読んだ直後から滅茶苦茶役に立つ──『アルゴリズム思考術:問題解決の最強ツール』

アルゴリズム思考術:問題解決の最強ツール作者: ブライアンクリスチャン,トムグリフィス,田沢恭子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/10/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る『アルゴリズム思考術:問題解決の最強ツール』とは…

生命を作り変える技術──『CRISPR(クリスパー) 究極の遺伝子編集技術の発見』

CRISPR(クリスパー) 究極の遺伝子編集技術の発見作者: ジェニファー・ダウドナ,サミュエル・スターンバーグ,櫻井祐子,須田桃子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2017/10/04メディア: 単行本この商品を含むブログを見るCRISPR/Cas9(クリスパー・キャス・ナイ…

生きていくうえで、あると嬉しい基礎知識──『こわいもの知らずの病理学講義』

こわいもの知らずの病理学講義作者: 仲野徹出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2017/09/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る仲野徹先生といえば大阪大学大学院・生命機能研究科および医学系研究科教授というスゲー肩書を持っていながら同時にH…

海洋という独特の存在が国際社会にどのような影響を与えているか『海の地政学──海軍提督が語る歴史と戦略』

海の地政学──海軍提督が語る歴史と戦略作者: ジェイムズスタヴリディス,James Stavridis,北川知子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/09/07メディア: 単行本この商品を含むブログを見る本書は元アメリカ合衆国海軍大将、艦これのプレイヤーとかではなく…

これもまた一つのサイエンス・フィクション──『驚異の未来生物: 人類が消えた1000万年後の世界』

驚異の未来生物: 人類が消えた1000万年後の世界作者: マルク・ブレー,セバスティアン・ステイエ,森健人,遠藤ゆかり出版社/メーカー: 創元社発売日: 2017/08/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る果たして人類が消えた1000万年後の世界はどう…

とてつもなく変態で、ありえないほど文章がうまい──『動物になって生きてみた』

動物になって生きてみた作者: チャールズ・フォスター出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2017/09/15メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るどうやったら、我々人間は動物の感覚にもっと近づくことができるのだろう。たとえばアナクマのように巣穴…

親の影響はどれぐらい?『子育ての大誤解――重要なのは親じゃない』

子育ての大誤解〔新版〕上――重要なのは親じゃない (ハヤカワ文庫NF)作者: ジュディス・リッチ・ハリス,橘玲,石田理恵出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/08/24メディア: 文庫この商品を含むブログを見る子育ての大誤解〔新版〕下――重要なのは親じゃない …

1000万種におよぶ昆虫たちの、オンリーワンの交尾道──『昆虫の交尾は、味わい深い…。』

昆虫の交尾は、味わい深い…。 (岩波科学ライブラリー)作者: 上村佳孝出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2017/08/11メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る本書は書名の通りに昆虫の交尾について書かれた一冊である。人生でこんなにたく…

他者を評価する際の落とし穴──『なぜ心を読みすぎるのか: みきわめと対人関係の心理学』

なぜ心を読みすぎるのか: みきわめと対人関係の心理学作者: 唐沢かおり出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2017/07/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る他人の心は、わからないものだ。たとえ相手が笑顔で話しかけてきても、こちらのことを殺…

インターネットの大失敗『インターネットは自由を奪う――〈無料〉という落とし穴』

インターネットは自由を奪う――〈無料〉という落とし穴作者: アンドリューキーン,Andrew Keen,中島由華出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/08/24メディア: 単行本この商品を含むブログを見るインターネット、それはなくてはならぬ文明の利器! 本職がプロ…

ピカチュウはなぜピカチュウなのか『オノマトペの謎――ピカチュウからモフモフまで』

オノマトペの謎――ピカチュウからモフモフまで (岩波科学ライブラリー)作者: 窪薗晴夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2017/05/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見るバクバク食べるとかサクサク進むとか世の中には豊富なオ…

科学という探偵──『科学捜査ケースファイル―難事件はいかにして解決されたか』

科学捜査ケースファイル―難事件はいかにして解決されたか作者: ヴァル・マクダーミド,久保美代子出版社/メーカー: 化学同人発売日: 2017/07/24メディア: 単行本この商品を含むブログを見る科学捜査という言葉には胸おどるものがある。「捜査」という本来なら…

宇宙の終わりには何が起こるのか──『すごい物理学講義』

すごい物理学講義作者: カルロロヴェッリ,Carlo Rovelli,竹内薫,栗原俊秀出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2017/05/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る本書はループ量子重力理論という近年盛り上がっている物理学の分野を、第一人者…

我々の宇宙はなぜ「できすぎて」いるのか──『マルチバース宇宙論入門 私たちはなぜ〈この宇宙〉にいるのか』

マルチバース宇宙論入門 私たちはなぜ〈この宇宙〉にいるのか (星海社新書)作者: 野村泰紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/07/26メディア: 新書この商品を含むブログ (2件) を見る本書はその書名のとおりに、この世界には我々が今住んでいる宇宙以外に…

かくも多様な性交の世界──『セックス・イン・ザ・シー』

セックス・イン・ザ・シー (講談社選書メチエ)作者: マラー・J・ハート,桑田健出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/08/10メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る多くの生物は何事か崇高な目的のためというよりかは、自身の遺伝子を後…

肥満の起源はどこにあるのか──『人はなぜ太りやすいのか――肥満の進化生物学』

人はなぜ太りやすいのか――肥満の進化生物学作者: マイケル・L・パワー,ジェイ・シュルキン,山本太郎出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2017/07/19メディア: 単行本この商品を含むブログを見る現代人はかつてないほど太っている。体長を身長の二乗で割って…

人類のせいでバナナがヤバイ──『世界からバナナがなくなるまえに: 食料危機に立ち向かう科学者たち』

世界からバナナがなくなるまえに: 食料危機に立ち向かう科学者たち作者: ロブ・ダン,高橋洋出版社/メーカー: 青土社発売日: 2017/07/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る最近、身の回りには食料が行き渡りすぎていて、逆に廃棄が…

無根拠なサイエンスノンフィクションを見分けるためのいくつかのやり方

科学的とはどういう意味か (幻冬舎新書)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2011/06/29メディア: 新書購入: 3人 クリック: 146回この商品を含むブログ (76件) を見る今日は本当はとある一冊のサイエンスノンフィクションについて書こうと思っていた…

『人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか?』を神経科学的に解き明かす。

人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか?作者: エリエザー・J・スタンバーグ,水野涼出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2017/06/29メディア: 単行本この商品を含むブログを見る『人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか?』という書名からはトンデモオカルト本の香りしかしない…

分子から生態系にまで作用する普遍的なルール『セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるか』

セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるか作者: ショーン・B.キャロル,高橋洋出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2017/06/15メディア: 単行本この商品を含むブログを見る「果てしなく広がる平原」の意味を持つ「セレンゲティ」国立公園ではキリン…

戦争をテクノロジー、物理法則から理解する三冊

戦争、それは人類の最も悲惨な自己破壊である。この世界には無限のリソースはなく、人間は感情的に理屈に沿わぬ意味不明な行動を起こすことがあり、人々は時に計画的に、時に勃発的に、他国に対し戦争行動をしかけることになる。そうしていったん戦争がはじ…

二次元世界の住人から、三次元世界はどう見える?──『フラットランド たくさんの次元のものがたり』

フラットランド たくさんの次元のものがたり (講談社選書メチエ)作者: エドウィン.アボット・アボット,アイドゥン・ブユクタシ,竹内薫出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/05/12メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るフラットランド…

言語研究者は日々どのような「怪物」を相手にしているのか──『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」』

働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」作者: 川添愛,花松あゆみ出版社/メーカー: 朝日出版社発売日: 2017/06/17メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る数学的原理に裏打ちされた傑作ファン…

人間の本質はどこにあるのか──『Beyond Human 超人類の時代へ 今、医療テクノロジーの最先端で』

Beyond Human 超人類の時代へ 今、医療テクノロジーの最先端で作者: イブ・ヘロルド,佐藤やえ出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン発売日: 2017/06/10メディア: 単行本この商品を含むブログを見るかなり胡散臭い書名である。そのため警戒しな…

平均的な人間はどこにもいない『平均思考は捨てなさい──出る杭を伸ばす個の科学』

平均思考は捨てなさい作者: トッド・ローズ,小坂恵理出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/05/24メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るこういってはなんだが『平均思考は捨てなさい』とは、ノリ切れないビジネス書のような書名だ。…