基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2014-01-01から1年間の記事一覧

問題をどう解くか: 問題解決の理論 (ちくま学芸文庫 ウ 22-1) by ウェイン・ウィケルグレン

1980年に出ていたものがちくま学芸文庫にて最近文庫化されたので初読み。これは名著だ。たくさん「この人は頭の回転が速いなあ」と思う人にあってきたが、頭の良さにもいくつかのパターンがある。純粋に計算能力や記憶能力が良いといった地力が強いタイプ。…

アカマイ 知られざるインターネットの巨人 by 小川晃通

あ、アカマイの本が出たのか、と思って購入。ある面においてはGoogleと同じぐらい重要な企業にもかかわらずあまり表には名前が出てこない企業なので詳細な解説本が出るのならと一も二もなく飛びついてしまった。何がそんなに凄いかって数年前まで世界のWebト…

チャイナ・ハッカーズ by ウラジミール

昨年春に米セキュリティ会社・マンディアントが発表したレポートを読んでから初めてサイバー戦争関連の情報に興味を持つようになった。同レポートによれば、中国人民解放軍直下の大規模なサイバー攻撃部隊が米軍や関連企業にサイバー攻撃をしかけてきている…

ゴーストマン 時限紙幣 by ロジャー・ホッブズ

小説の文章というのは不思議なものだ。何十年書き続けた作家の文章が円熟の極みに達する──ということはあまりない。下手なヤツはそこそこうまくなる可能性がある。一方で上手い文章を書く奴はその一番最初の作品からして、どうしようもなく引き込まれる文章…

ミッキーマウスのストライキ!: 米国・アニメ労働運動100年史 by トム・シート

元ディズニー・スタジオのアニメーターでもある著者の書いた、労働組合運動史。そもそも労働組合運動の歴史なんてものをあまり読んだことがなく、アニメーターのともなれば皆無だ。日本でもアニメ制作業者たちの労働環境の劣悪さなどはたびたび問題にあがる…

星を創る者たち by 谷甲州

SF

この『星を創る者たち』は谷甲州氏による宇宙土木シリーズを一冊にまとめたもの。宇宙土木シリーズってなんだそれ、凄い言葉のインパクトだなと思うがのちに説明する。何冊もあるシリーズのうちの一冊というわけではなく、連作短編集の形としてこの一冊で完…

素直に生きる100の講義 by 森博嗣

100の様々な発想を元に、1発想につき見開き2ページで簡単なエッセイが書かれている本。100の講義シリーズの第三弾だ。ただ、内容につながりがあるわけでもないので別にこれから読んでも問題ない。定期的に出るので森博嗣さんの日記のように読んでしまう。内…

RPF レッドドラゴン

TRPGの手法を用いて「最高のフィクション」を生み出すためのシステムなどといって出てきたロールプレイングフィクション(RPF)などというイマイチよくわからないものが最初このレッドドラゴンのウリ文句だった。それってようはTRPGのリプレイってだけでしょ…

SFマガジン700【海外篇】とSFマガジン700【国内篇】

SF

多数の作家が入り乱れて短編を寄稿するアンソロジーが僕はあまり好きではない。多数の短編が味わえるといっても、作家ごとに好みに差は出てくるし、それ以上にクォリティに差が出てきて面白くないものが連続したりすると買ったことを後悔してしまう。何より…

読書会『SFマガジン700【海外篇】』の開催報告書

昨日8月3日に大阪駅周辺にて『SFマガジン700【海外篇】』を題材にして読書会をやってきました。無事6名の方に参加表明いただき(当日体調不良1名発生により読書会自体は5名)、だんだん賑わってきました。この読書会、正式名称は誰得読書会というのです…

原作と映像の交叉光線 by 千街晶之

なんだかかっこつけた題名だが、ようは原作付きで映像化された作品を原作と比較しながら読んで(みて)いこうという、ただそれだけの本である。ただそれだけといっても原作の映像化は全部が全部同じようになるわけではない。原作にできるかぎり、セリフまで…

情報汚染の時代 (角川EPUB選書) by 高田明典

ツイッターにタンブラーに動画サイトにアルゴリズムで自動的にニュースを取得してくるサイトに……今やどこにいっても常時更新が行われるサイトばかりで、情報を取得して時間を潰そうと思えばいくらでも出来てしまう。いたるところで情報が吐出されて、話題は…

職場の人間科学: ビッグデータで考える「理想の働き方」 by ベン・ウェイバー

たとえば今は職場の人間関係に対するマニュアルなんか存在しない。「毎日隣の人と会話しなさい」なんて言われても「ふざけているのかこのクソが」としか思わないだろう。職場の人間関係は「飲みにはいったほうがいい」とか「上司のいうことには逆らわない方…

読書会@大阪 8月3日(日)課題本:『SFマガジン700【海外篇】』のお知らせ

冬木糸一と申します。時々読書会を開いております。 下記に内容を告知していますので興味がある人はご一読ください。

The World We Made: Alex McKay's Story from 2050 by Jonathon Porritt

歴史の先生であるAlex McKayが2050年から歴史を振り返って何が起こったのか主要なイベントをざっと見ていく、未来予測系の本だ。単なる「未来はこうなっているかもしれません」とする未来予測とはちがって、時系列順に「この年にはこんなことがあってね……

Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ by Jeff Potter

最近料理をはじめた。それ以前は冷凍食品をちんして料理をしたと言いはっているレベルであったので、まったくもって人生初自炊である。時間に余裕が生まれたのと、栄養バランスを自分で管理する必要が出てきたことから始めたのだ。最初、料理といっても結局…

The Different Girl by Gordon Dahlquist

ヤングアダルト系のSF……といっていいのかどかわからないが、ジュブナイルSFとでもいったほうがいいのか。ただSF設定そのものについてはほのめかされるだけでガッツリ設定が語られるわけではない。240ページ程で、ぎゅっと詰まっている。女の子4人(+1…

キヌ六 by 野村亮馬

『ベントラー・ベントラー』で名前を知った野村亮馬さんの新作。架空の歴史をたどった2001年が舞台でサイボーグ達が身体をバラバラに、ブチブチ引きちぎりながら殺しあうアクション漫画が『キヌ六』だ。基本このブログでは5巻以内に完結する漫画をメイ…

やわらかな遺伝子 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) by マット・リドレー

『繁栄』繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史 - 基本読書 のマット・リドレー。生まれか育ちか議論に決着をつけるべく詳細を語っていった一冊で、最近文庫化された。繁栄はちょっとズレたけどもともと遺伝子とかそっちが専門の科学ジャーナリストなんだ…

NASA ―宇宙開発の60年 (中公新書) by 佐藤靖

NASAの宇宙施策はアポロが終わりISSの運用が始まったあと、何を目指しているのかよくわからない。無人探査を推し進めるのか? それとも有人で火星に人を送り込むのか? 送り込むとしてちょっと地面に足をつけて帰ってくるのか? 本格的に人間を「住まわせる…

捕食者なき世界 (文春文庫) by ウィリアムソウルゼンバーグ

先日ネズミやネコといった小型の襲撃者が狩りを繰り返し絶滅を引き起こし続けている状況を書いたねずみに支配された島 by ウィリアムソウルゼンバーグ - 基本読書 を紹介したので、同著者の前著も合わせて紹介しておこう。こちらは捕食者がいない世界で何が…

駄作 (ハヤカワ・ミステリ文庫) by ジェシー・ケラーマン

うーん素晴らしい。げらげら笑いながら最後まで読んでしまった。明らかにおかしい、明らかに狂っている。ギャグをあくまでも生真面目に、頭から尻尾まで敷き詰めてやった爽快さがある*1。後半部に関してはどこからどう読んでもゴミ・クソみたいな本(駄作)…

凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫)

国家には法律がある。破ったらこういう罰を与えるぞ! というルールブックである。基本的に国民はそうした法律を守ったり、時にはバレないようにちょっぴり破ったりして生活している。たまに免許証を忘れてクルマを運転したところで捕まることはめったにない…

SF奇書コレクション (キー・ライブラリー) by 北原尚彦

世の中にはどうにも理解できない衝動に突き動かされている人がいて、そういう人達の行動は自分にはよく理解できないだけに別の生態系をみているように面白かったりする。本書の著者である北原尚彦さんはSF古書コレクターという点で僕には理解できない情熱を…

Sakura Spirit

海外で制作されたノベルゲー 塗りなどが完全にジャパニーズエロゲー、それどころか物語も思春期真っ盛りの柔道家の17歳が自室で語り始めるというまったくもって由緒正しきエロゲーである。お色気シーンはあるがエロシーンはないのでエロゲーではないが。Stea…

読書会の形式についていろいろ考えてみる

むかし読書会についてはこんな記事を書いたことがある⇒読書会について - 基本読書いろんな形式で読書会をやってきての雑感で、ざっくりとした要約としては「長編一冊を複数人、あまり仲良くもない人間でもたせようとすると間がもたない。」っていう大きな問…

読書会@渋谷付近 7月12日(土)課題本:さよならの儀式 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)のお知らせ

冬木糸一と申します。時々読書会を開いております。 下記に内容を告知していますので興味がある人はご一読ください。

読書会『さよならの儀式 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)』の開催報告書

本日2014年7月12日に開催した読書会『さよならの儀式』ですが台風が過ぎ去ったクソ熱い中自分含め6名にお集まりいただき楽しく読んで帰ってきました。いや〜けなしたり褒めたり、楽しかった。基本褒める作品しかこのブログにはのせないので(けなすと面倒く…

あなたの見ている多くの試合に台本が存在する by デクラン・ヒル

邦題だけみるとすべての競技についての話かな? と思うが原題は『The insiders Guide to Match Fixing in Football』なのでサッカーで行われる八百長の話だ。あんまりいい邦題じゃないね。人間、別に堕落でもなんでもなく合理的な理由によって八百長をするも…

ロボコン イケてない僕らのイカした特別授業 by ニール・バスコム

アメリカには数々のスタープレイヤーがいる。アメフト、野球、バスケットボール、サッカーは……それよりは劣るか。有名なIT起業家はいるが、有名なITエンジニアというとどうだろうか。アメリカにはっていうか、世界的にいってもスーパースターといえば基本は…